韓国放送局・MBCのお天気キャスター、オ・ヨアンナさんが28歳で死去したことを受け、tvNのバラエティー番組「ユ・クイズ ON THE BLOCK(以下、ユ・クイズ)」の、オ・ヨアンナさんの出演回が削除され、批判の声が上がっている。
韓国メディアのスポーツソウルによると1月31日、2022年11月30日に放送された「ユ・クイズ」第170回が、動画配信サービスのTVINGから削除されているという。この日の放送では、地上波の放送局3社のお天気キャスターとして、オ・ヨアンナさんとともに、SBSのナム・ユジンキャスター、KBSのペ・ヘジキャスターが出演した。
オ・ヨアンナさんが亡くなった後、職場での同僚キャスターによる“いじめ疑惑”が浮上したことによる、TVINGのこの対応に、非難が集まった。この件に関して、現地のオンラインコミュニティーでは「故人が悪いことをしたわけでもないのに、どうして動画を見られなくするんだ」「二次加害も同然」「加害者はテレビに出続けているのに、被害者の映像は消された」「動画が話題になることを恐れての対応だと思う」などの意見が集まり、批判は後を絶たない。
韓国の毎日新聞の報道によると、オ・ヨアンナさんは昨年9月15日の午前1時5分ごろ、自身のスマホのメモ帳に、原稿用紙17枚分に相当する、2750字の遺書を作成した後、自ら命を絶ったという。遺書には、特定の同僚キャスター2人から「いじめを受けていた」という内容が書かれていた。また該当とされる2人は、故人の葬儀に来なかったことも伝えられた。
いじめは、オ・ヨアンナさんの「ユ・クイズ」出演後から始まったと伝えられ、このような対応に批判の声が上がっている。
MBC第3労働組合の非常対策委員長であるカン・ミョンイル氏は1月28日、YouTubeのライブ放送を通して「『ユ・クイズ』の放送後に、お天気キャスター6人のグループチャットから、オ・ヨアンナさんとその同期を除いた4人のグループチャットを作り、2人をいじめたという。あってはならないことだ」と明かしていた。
「ユ・クイズ」のオ・ヨアンナさん出演回の動画削除は、tvNからの要請によるものとみられる。TVINGの関係者は「コンテンツのサービス提供可否は、供給会社との協議事項のため、詳細は公開できない」と口をつぐんだ。
責任を問われる立場であるMBCも、もちろん批判を受けている。MBCは「正確な事実が確認できていない状況で、ここぞとばかりにこの問題を“MBCたたき”に利用している勢力の行動を、懸念している」と公式コメントを出し、この件について政党「国民の力」のアン・チョルス氏は、「MBCが自社の立場を優先し、責任を逃れているのは、典型的なダブルスタンダードである」と批判。二次加害をやめるよう非難した。