昼休みを終え午後の仕事を始めて集中力が高まってきたころに、デスクの上に置いていた社用スマホに着信が入る。見慣れない電話番号ではあるものの客商売をしている以上、放っておくわけにはいかない。
新規顧客からの問い合わせでありますようにと祈りながら電話に出ると「御社の代表者はいらっしゃいますか」という聞き慣れた台詞が聴こえてくる。「ああ…営業電話か…」と電話に出たことを後悔する瞬間だ。筆者に限らず多くの人がこの手の「迷惑電話」を経験したことがあるだろう。では、このような迷惑電話ではどんな話をされるのか、筆者の体験を元に振り返ろう。
よくある迷惑電話としては、「1,2分よろしいでしょうか?」と丁寧に時間を区切ってくる場合がある。1,2分ならいいかと思って話を聞き始めても、その時間内で終わった試しがない。「今日、お伺いできますか?」という当日アポイントメントの要請も、時間を人質にとったかのようなやり口だ。
また「ホームページから集客を増やしませんか」という電話営業もよくあるパターンだ。この営業に対して、「なぜ自分の会社は電話営業をしているの?」と聞くと、返事が返ってこない場合が多い。明確な答えを持っているなら、続きの話を聞いてみようとも思うのだが。
その他に「有名人との対談記事を雑誌に掲載しませんか?」という営業電話もかかってきたことがある。雑誌の取材で有名人に出会えるならと思って喜んでいると、後から費用が掛かると言われて冷水をかけられる。費用対効果を冷静に判断して、返答しなければならない。
いずれの場合も、自分の事情を話すばかりで「集客でお困りですか?」といったこちら側に配慮する質問がない場合が多い。
このような電話営業に迷惑している人が多いようで、今では着信した電話番号をネットで調べれば迷惑電話かどうかが判断できるようになっている。これほど嫌われているにも関わらず、電話営業がなくならない最大の理由は、わずかではあるが成約に至るケースが存在するからであろう。しかしその成約率は極めて低く、多くの人々に不快感を与えている事実は否めない。
電話営業を受けた結果、良い成果を得た経験のある人はいるだろうか。少なくとも筆者にはその経験がなく、周囲の経営者に話を聞いても多くはない。現代のビジネス環境において、一方的な電話営業はますます時代遅れとなっていくだろう。