俳優セバスチャン・スタン(42)が、映画「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」でドナルド・トランプ氏を演じることについて「危険すぎる」と警告を受けていたという。アリ・アバシ監督によるトランプ氏のビジネス界での出世と、トランプ氏を導いた弁護士ロイ・コーン氏(ジェレミー・ストロング)に焦点を当てた同作。今年の「第82回ゴールデングローブ賞」で主演男優賞にノミネートされるなど高い評価を得たセバスチャンだが、当初はオファーを受けないようアドバイスを受けたという。
「バラエティ」誌の「アワード・サーキット・ポッドキャスト」に登場したセバスチャンは「この映画は僕がやった中でも最も難しいものだった。トランプを演じることの複雑さだけでなく、それによって引き起こされる反応のせいでね」と語った。「『やらない方がいい』と言われたよ。『人々が離れていく、あなたは彼に似ていない。危険すぎる』って。でも僕にとって演技とは不快なものに向かうことなんだ。最も暗い場所であっても人間性を理解しようとすること」と否定的な意見が多かったことも明かした。
更に同作にトランプ氏への同調はなくただ理解を試みていると続ける。「理解することは共感の試みと解釈する人々がいるけど、ここでの目的はそこじゃない。この映画は尋ねてくる。『あなたはこの男を信用するか?自分の人生を彼に預けるだろうか?』と」とトランプ氏役についての意義を語った。
同役に対する称賛をたくさん受けたというセバスチャンだが、公に拍手を送ろうとする人はほとんどいなかったことも告白してもいた。「人々がどれほど躊躇しているのかがわかったよ。パーティーの席でこの映画が今年一番のお気に入りと言ってくれる人はいても、公の場での応援となると沈黙してしまう。大変なことさ」と実情を語った。
トランプ氏の話し方やボディランゲージを会得するため1970年代まで遡り約700本のビデオを研究したというセバスチャン。唇の動かし方まで変えて練習したという。
1980年代にトランプ氏が不動産開発業者から成功していく過程を描く同作は今月17日から日本公開がスタートしたところだ。