2024年11月、Bloombergがソニーの新型携帯ゲーム機開発の噂を報じた。この報道は一部のメディアでも紹介され、多くのゲームファンの目に留まった。そこで振り返ってみたいのが、ソニーの携帯ゲーム機の歴史だ。
2004年12月12日、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は初の携帯ゲーム機「PlayStation Portable(PSP)」を発売した。PSPは、単なるゲーム機を超えたマルチメディア端末として登場し、ゲームだけでなく音楽や動画の再生、インターネットブラウジングまでこなす多機能ぶりを誇った。
PSPの真価を発揮したのは、カプコンの人気ハンティングアクションゲーム『モンスターハンターポータブル』シリーズの登場だったのではないだろうか。特に2008年発売の『モンスターハンターポータブル 2nd G』は、PSPの普及に大きく貢献した。オフィスや学校、さらには電車の中でさえ、友人同士で集まってモンスターを狩る光景が日常となった。
2007年9月20日、SCEは軽量化・薄型化を実現した新型PSP-2000シリーズを発売。さらに2008年10月16日には、より洗練されたPSP-3000シリーズが登場した。これらの新モデルは、画質の向上やバッテリー寿命の改善など、ユーザーの要望に応える形で進化を遂げていった。
このころ発売されたヒット作として、「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-」があげられる。人気シリーズ「ファイナルファンタジーVII」の世界観を踏襲しつつ、PSP向けに最適化されたゲームプレイが好評を博し、累計販売本数が約81万本を記録した。
また、2010年4月に発売された「メタルギア ソリッド ピースウォーカー」は、約79万本の販売を記録した。シリーズの特徴であるステルスアクションをPSP向けに再構築し、携帯機でありながら本格的な「メタルギア」体験を提供した。緻密なゲームデザインと深いストーリー性が高く評価された。
2009年11月1日には、SCEは革新的な「PSP go」を発売した。UMDドライブを廃止し、すべてのゲームをダウンロード販売で提供するという、当時としては斬新な試みだった。スライド式の操作パネルを採用し、携帯性を大幅に向上させた点も特筆すべきである。
ただダウンロード販売が一般的でなかった当時、UMDソフトが使えないという制約は大きな障壁となった。結果として、PSP goは短命に終わることとなる。
2011年12月17日、SCEはPSPの後継機「PlayStation Vita」を発売した。有機ELディスプレイ、デュアルアナログスティック、背面タッチパッドなど、革新的な機能を搭載したVitaは、携帯ゲーム機の新たな可能性を示した。
しかし、スマートフォンの台頭により携帯ゲーム機市場が縮小する中、Vitaは苦戦を強いられた。2019年、ソニーはVitaの生産終了を発表し、携帯ゲーム機市場から一時的に撤退することとなった。
ソニーの携帯ゲーム機は、常に時代の一歩先を行く革新性と、ゲーマーの心を掴む魅力的なソフトウェアラインナップを兼ね備えていた。PSPからVitaまでの軌跡は、ソニーのゲーム事業における挑戦と進化の歴史そのものである。
Bloombergの報道のとおり、ソニーが再び携帯ゲーム機市場に参入するのであれば、その期待値は高い。ソニーの新たな携帯ゲーム機が、どのような革新をもたらすのか。その発表の日を心待ちにしたい。