日本の大手タイヤメーカー「ブリヂストン」が1日、アストロボティック テクノロジー社と「月面探査車」向けタイヤ開発の協業契約を締結した。公式サイトなどで発表された。
ブリヂストンは、言わずと知れた「世界3大タイヤメーカー」の一つ。90年以上にわたるタイヤ開発を通じて「世界の道を知る」その知見を活かし、2019年からは月面探査車用タイヤの研究開発に取り組んでいた。アストロボティック社は、6種類の月面探査車開発やNASAからのローバー技術契約37件受託など、17年間にわたる月面探査車の開発実績を持つ。
そんな、宇宙探査と技術開発の「リーディング」カンパニーであるアストロボティック社と協業契約を締結。ブリヂストンは「モータースポーツなど『極限』の環境で技術イノベーションを磨き続けることで、地球のあらゆるモビリティの進化を支えてきました。次のステージとして、月面という人類が活動する新たな『極限』に挑戦することで安心・安全な人とモノの移動を支え続け、スペースモビリティの進化を足元から支えていきます」と協業の意図を明かした。
月面で使用予定のタイヤは、金属製のスポーク(タイヤの接地面とホイールを繋ぎ、荷重を支えるとともに衝撃を吸収する機能を持つ部材)を採用。耐久性を確保しながらも柔らかく変形することで、月面にある岩などの障害物を乗り越えて走行することが可能になっている。月面での使用を考え、「広大な砂地で様々な起伏がある」と特徴が近い、鳥取砂丘の月面実証フィールド「ルナテラス」で走行試験を実施。そこでタイヤの耐久性能や駆動力などのデータを積み上げてきた。
装着するのはアストロボティック社の月面探査車「24U CubeRover(トゥエンティーフォー ユー キューブローバー)」。月面における科学調査の機器と積載物の移動手段となり、電力・通信などを提供するよう設計になっている。今後については「近い将来、アストロボティック社とブリヂストンは月面への打ち上げおよび宇宙での熱環境におけるタイヤの耐久性も確認する予定です」と公表した。