〝謎〟に包まれた女性シンガーの素顔は「普通の女子高生」ゲーム人気作の主題歌に大抜てき「ドッキリかと」

髙石 航平 髙石 航平
世の中に突如現れた女性シンガー・藤原美慶
世の中に突如現れた女性シンガー・藤原美慶

 人気野球ゲームの最新作「パワフルプロ野球2024-2025」が今年8月に発売。主題歌には、名前を検索してもほとんど情報が出てこない「謎」の女性が抜てきされた。今回はそんな世の中に突如現れた女性シンガー・藤原美慶(びけい)の素顔に迫った。

 10月14日に都内で開催された「パワフルプロ野球30周年記念コンサート」では、一人目の歌唱者として登場。最新作の主題歌「RELAY」を堂々と歌い上げて観客の心をつかみ、会場のボルテージを高めた。圧倒的な歌唱力と舞台慣れを感じさせた藤原に対して、単刀直入に「あなたは何者ですか?!」と質問したところ、藤原は「普通の高校生です」と笑顔を見せた。

 なんとパワプロ最新作に抜てきされるまでの藤原は、本当に「ごく普通」の女子高校生。現在は高校3年生で、SNSなどでの主だった歌唱活動などはしていなかったが、小さい頃から地元・徳島の「のど自慢大会」に出ていた、歌が好きな女の子だったという。持ち歌は最新のadoの楽曲から、中西保志の「最後の雨」まで、新旧くまなく好んでいたそう。

 運命が変わったのは高校2年時。兵庫県ののど自慢大会に遠征し、見事優勝を果たした。大会の審査員として藤原を見つけ、現在はコーディネーターを務める割田康彦氏は「こんなに歌がうまい高校生はいない」と絶賛。藤原に対して、あえて「コナミ」と「パワプロ」という名前を出さずに、「ゲームの主題歌のオーディションがあるんだけど、どう?」と持ちかけた。

 応募には資料が必要だが、「普通の女子高生」の藤原にそんなものはない。母がのど自慢に出場する様子を収めた動画などをかき集め、なんとか応募した。割田氏は「まわりはプロやセミプロだらけ。一番雑な資料だったと思いますよ」と苦笑い。ただ「そのぶん、ごまかしはきかない。修正がないだけ、本物なんですよ」と太鼓判を押した。

 その実力が認められ、合格が決定。電話口で合格と、その作品がパワプロであることを初めて伝えられた藤原は「最初はドッキリかとおもった」と驚いたという。「うまくいきすぎて『モニタリング』(TBS系のテレビ番組)なのかなと。『ドッキリグランプリちゃうん?』と疑っていました」と阿波弁を交えて振り返った。だがこれは「正夢」。多くの大人に囲まれて収録を終えたが、情報の公開までは厳戒態勢だ。公式発表までの3カ月弱は「誰ともしゃべりませんでした。誰かと話したら絶対言いたくなるので」と苦笑いで思い出した。

 藤原が〝謎〟めいていた要因の一つは、現代では珍しく「SNSを運用していない」こと。人気作の主題歌に選ばれたにも関わらず本人からの発信はなく、さらにそれが「女子高生」というのが驚きだ。その理由については「歌を嫌いになりたくないのが一番」と藤原。「誹謗(ひぼう)中傷が一番怖くて。その一言で自分が歌を嫌いになってしまったら嫌。(SNSを始めるのは)今じゃないかなという感じです」と歌を愛するが故の、「あえて」の策であることを明かした。

 主題歌抜てき後は、地元のサッカーチーム・徳島FCの応援メンバーとしても活躍し、令和の「シンデレラストーリー」を歩む藤原。今後については「全然決まっていないんですけど、歌はずっと歌い続けていきたいというのはあります。歌を辞めたくないという気持ちは150%です」と歌唱活動をメインに据える予定だ。パワプロと同じ、自身の30歳に向けては「12年後、すぐですね。幸せな家庭を築いていたいですね」とビジョンを描いた。

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