毎年のように台風や地震などの天災がやってくる日本では、どこに住んでいたとしてもいつ災害の被害に遭うか分からない。ハザードマップや避難場所、備蓄食料などの確認など、備えるべきことは山積みだ。また近年では情報の取得・発信にスマホやパソコンを使うことも多いことを考えると、災害時の電気の確保も必要不可欠だ。
災害時に電気を確保する方法として、最近では家庭用の蓄電池や発電機も発売されている。しかしそれぞれにどんな違いがあって、どれを選べばいいか分からないという人もいるだろう。そこで、災害時の電気事情について防災アドバイザーの佐村河内 力さんに話を聞いた。
ー災害が起こった場合、電気は使えるのでしょうか
地震の場合でいえば、震度5以上で停電が発生することが多いです。ただ震度6弱までであれば、停電が長時間続くことは少ないでしょう。電気はほかのライフラインと比べて復旧が比較的早いため、過去の実績でいえば平均すると3〜5時間でおおよそ復旧しています。
震度6強以上の地震や暴風を伴う台風が発生した場合、電柱や鉄塔が倒れることがあります。こうなると停電の復旧には時間を要してしまいます。復旧まで1週間から1か月かかることだってあり得る話です。また停電はエリアで発生するため、避難所に行ったとしても電気が使えるわけではありません。
ー蓄電池と発電機は災害時に有効なのでしょうか
災害時の必需品と考えた方がいいでしょう。特に長期間の停電になってしまうと、パソコンやスマホが使用できなくなってしまいます。それでは情報を得ることも発信することもできません。多くの電気が必要な電子レンジやエアコンを動かすのは難しいですが、蓄電池や発電機があればスマホやパソコンを使い続けられます。
ーそれぞれの特徴はどのようなものでしょうか?
蓄電池と発電機はその役割が異なります。蓄電池はその名のとおり、電気を貯めておくものです。一方で発電機は電気を作るもので、貯めておくことはできません。したがってどちらかを持っておいた方がいいということではなく、両方揃えておくことが重要です。
例えばスマホやパソコンを使用するだけなら、持ち運びできるバッテリーでも十分です。1000Wh程度のバッテリー容量があれば、スマホの充電なら約30回、パソコンの充電なら10回ほど利用可能です。
一方、発電機はソーラー、ガソリン、軽油、LPガス、カセットボンベなどをつかって発電する機械です。このうちガソリンと軽油は劣化が激しいので、家庭用で使うならカセットボンベで発電する機械がおすすめです。またソーラー発電機はほかの発電機と違い、駆動部分がないので静かに使用できます。晴れた昼間しか発電できませんが、持ち運びもしやすいので持っておくといいでしょう。
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このように災害の備えとして蓄電池と発電機は必需品のひとつであることが分かった。その他の災害時に持ち出す道具についても、災害が発生してからでは遅いので今から何が必要か確認し、準備をしておくことが重要だ。