写真家の青山裕企さんがこのほど「コンプレックスは武器になる。」(技術評論社)を上梓した。吉高由里子、指原莉乃、生駒里奈、オリエンタルラジオから一般人まで、5000人以上を撮影してきた経験をもとに、女性が抱く容姿面のコンプレックスを手なづける〝自分らしさ〟の価値を描いた。
「笑顔は嫌い、歯が見えてしわも出るから」
「ああ、今日も目がちっさい」
「足が太いから出したくない」
そんな女性たちの嘆きを取り上げ、青山さんが自身の思いを述べるエッセイ作品。精神論だけならば、単なる啓発本の範ちゅうに収まりそうだが、同著は異なる。ポートレートに関して、商業誌のグラビアから、自身のフェチを全開させた妄想的な作品まで幅広く制作。写真家として豊富な経験の裏付けがあるからこそ、多種多様なコンプレックスを解きほぐしていく様は爽快感すら感じさせる。
1978年生まれの青山さんは2007年、キヤノン写真新世紀優秀賞受賞を皮切りに、ポートレート作品に注力。自ら「ミスター・ポートレート」を名乗る。「ソラリーマン」「スクールガール・コンプレックス」「少女礼讃」など、サラリーマン・女子学生・少女など、“日本社会における記号的な存在"をモチーフにしながら、自分自身の思春期観や少女・父親像などを反映させた作品を制作。一方で数多くの芸能人とも向き合い、商業誌への発表も行ってきた。
写真集、エッセイなどを含め、今作で通算114冊目の著書。学生時代に女性との距離を縮められなかった自身のコンプレックスを作品に反映させてきた著者が、初めて女性を前向きにさせるような内容に挑んだ意欲作に仕上がった。
例えば「笑顔は嫌い、歯が見えてしわも出るから」というコンプレックスに対しては、このような持論を展開する。
「笑顔は、正義です。笑顔っていうのは、歯まで出してくれて、顔が崩れてるからこそ、うれしいんですよ」
「笑顔はとても褒めやすいものです。笑顔が嫌いな人って、見たことないですから」
「笑ってる顔のしわをレタッチで消すと、はっきり言って能面みたいになります」
「しわを愛せるようになったら、カッコいい女性への、入口です」
ほかにも「鼻」「髪」「唇」「肌の色」「身長」「胸」「太もも」「脚」など部位に特化したコラムを収録。「可愛さ」「色気」の捉え方へと進み、「コンプレックスは武器になる」という青山さんの女性讃歌が述べられていく。
構想10年。青山さんにとって新境地に至る意欲作だ。青山さんは「年齢問わず、女性の皆さまに読んでいただき、少しでもコンプレックスに対して前向きになってもらえたら嬉しいです。また、男性の皆さまにもし読んでいただけたら、女性の心の声がちょっと分かるようになるかもしれません。写真も多く、デザインも素敵になっていますので、プレゼントにもぜひ」と呼びかけた。9月17日には東京・青山ブックセンターで、最新フォトエッセイの撮影を手がけた元SKE48の須田亜香里との同著発売イベントを実施する。