2023年7月、SNSの「Twitter」が突如「X」に改称。アイコンも長年親しまれた「青い鳥」から「X」マークに変更された。この“青い鳥消滅”に翻弄(ほんろう)された企業がある。茎わかめなどで知られる、お菓子メーカー「壮関」(本社・栃木県矢板市)だ。SNSで話題を呼んだ悲劇の“その後”を聞いた。
Xに改称した当時、同社は主要18商品のパッケージデザインのリニューアルを目前に控えていた。うち、12商品の新パッケージ裏面には公式X(当時Twitter)のQRコードとともに、あの「青い鳥」を掲示することに。デザインは同年4月の時点で確定しており、9月のリニューアル実施を待つのみだった。ところが、だ。突如“青い鳥消滅”が起こり、パッケージ内に取り残される形になった。
公式Xで同内容を自虐的に投稿したところ、大きな話題に。よろず~ニュースをはじめ、朝の情報番組でも取り上げられた。
同社の担当者は当時、よろず~ニュースの取材に「まさかTwitterがこのように変わることなど全く想定しておりませんでした。『まだ発売前なのに、どうしようか?』という戸惑いもありましたが、むしろ小売り商談のネタにできるのではという前向きな声もありました」と社内の捉え方を明かした。加えて、23年7月時点で「表示法上の違法表記でないため、当面このままの使用を想定しています」と対応を明かしていた。
そして、リニューアルから1年が経過した現状を確認したところ、裏面には今も「青い鳥」が載っているという。同担当者は「新しいロゴガイドラインが出たら青い鳥に代えて、そちらを掲示するつもりでしたが、まだX社の方針も不安定な状態が続いているようです」と実情を明かした。
その間、看板商品「そうかんの茎わかめ」は販売好調。24年1~6月の売上は前年同期比10%増、7月は前年同月比20%増だという。話題を呼んだことによる広告効果との因果関係は不明だが、いい数字が出ている。また、商談の場で「見たよ!あの青い鳥でテレビ出た商品ね!」と盛り上がり、反響を実感することもあったという。
一方で、今後については心配な面も。新商品のパッケージにXのアイコンを載せるとしても「その直後にまたX社の方針が変わってロゴが変わったら、青い鳥の時と同じ事件が繰り返されることになる」と危惧。「開発側としてもXアイコンを取り入れるのにビビっています」と戦々恐々の思いだ。