日に日に暑さも増して本格的な夏が到来し、風物詩である「かき氷」や「浴衣」などを楽しむ時期にもなってきた。いわゆる「納涼」を堪能することも夏ならではの過ごし方だが、納涼といえば「怖い話」や「肝試し」を想像する人も少なくないだろう。
2024年7月2日、X(旧Twitter)にポストされた創作漫画『肝試しに誘われた』は、多くの人から注目を集め、1.5万もの「いいね」を獲得している。
本作は主にSNSで漫画を公開している、夜風さららさんの作品。肝試しに向かった2人の青年「カナタ」と「トラ」のうち、トラの体には数え切れないほどの御守りや魔除けが身につけられており、あまりにも物音がうるさいため、2人はケンカに発展する。そんな中、本物の霊たちが様子を見にやってきて、トラが身につけている御守りや魔除けに効力があるのか、ひとつずつチェックしていくのだった…。
あまりにも御守りの数が多い青年や優しい霊たちのアドバイスなど、温かい雰囲気の中に笑いを散りばめた作風に対し、読者からは「ニンニクのネックレスには笑った」「心の中の『うるせぇ』っていうツッコミが最高」など好評の声が相次いでいる。
そこで作者の夜風さららさんに、『肝試しに誘われた』を手がけたきっかけや、作中に登場した御守りについて話を聞いた。
―『肝試しに誘われた』を描いたきっかけを教えてください。
本作に登場する『トラ(東郷秋虎)』という人物がメインのお話を考えていた際に思いつきました。
彼には霊感があり、今までにも日常の中で何度も霊体験に出くわしているのですが、霊がクリアに見えすぎて霊だと気づいておらず、また、彼自身も霊の存在を信じていないので、余計に気づけていないという特徴を持っています。
―本作に出てくる大量のお守りなどは、どのような経緯で作中に描いたのでしょうか?
作中に登場するトラが自分の身を守るためにありとあらゆる御守りを用意した設定です。そこで、いろいろな魔除けや御守りなどを調べて描かせていただきました。作中に登場した一部の魔除けや御守りは以下になります。
「破魔矢」
外から災いが入ってくることを防いでくれる効果があるのは、なんとなく知ってはいたのですが、学生時代に巫女のアルバイトをしたことがあって、その時に改めてちゃんと調べて知りました。
「八卦鏡」
漫画やゲームの作品でよく見かけていたので、何かしらの効果があるのかと思って調べた所、悪い事を跳ね返して相手を倒すといったカウンターのような要素を持っている事が特徴で面白かったので記憶に残っていました。
「柊イワシ」
記憶が遠くて細かい個所で間違っているかもしれませんが、両親の実家が福島なので、母が節分の時期か何かの時に家の出入り口に柊イワシを括り付けていた記憶があり、それがきっかけで柊イワシに魔除けの効果があることを知ったかと思います。
「唐辛子キーホルダー」
場所は覚えていないのですが、唐辛子キーホルダーをどこかのお店でたまたま見かけて、そこで厄落としの効果があることを知りました。
「ペンタグラム(五芒星)」
ペンタグラムの存在はタロットカードで知りました。子供の頃から姉がタロットカードでよく占いをしてくれたので、その延長線でペンタグラムの存在を知り、陰陽道では魔除けのシンボルとして伝えられていたことを知りました。
「ドリーム・キャッチャー」
お店で飾られているものをたまたまテレビか何かで見かけて、気になって調べた際、ネイティヴ・アメリカンの魔除けで、悪霊や悪夢を絡めとってくれるアイテムと知って記憶に残っていました。
―そもそも肝試しをした経験はありますか?
霊感が強い姉がおり、絶対にするなと言い聞かされていたので、本格的な肝試しはしたことはありません。今の住居に引っ越してから夜中に散歩をしているのですが、その周辺の場所が思い切り心霊スポットだったことに最近気づきました。でも、特に何もないので、今でもそこは散歩していますね。
―作中にはたくさんの幽霊や妖怪が出てきますが、さららさんは心霊体験をしたことはあるでしょうか?
私の家族で霊感が強い姉が1人いて、一緒に霊を見たり聞いたりした記憶があります。昔のことだったので、記憶を辿って話のネタにさせてもらっています。
◇ ◇
作品や内容について話を伺ったなかで、心霊体験の話にも発展し、まさか身内に霊感のある人がいたことは驚きだった。仮に霊が本当に存在したとしても、夜風さららさんの作品のような「優しい霊」であれば、少しは霊に対する恐怖心がなくなるのかもしれない。
<夜風さららさん関連情報>
X(旧Twitter):https://x.com/koikoisararira/media