NTTドコモ モバイル社会研究所が2023年4月10日に発表した調査結果によると、スマートフォン(以下、スマホ)の普及率はついに96.3%まで到達した。今やほとんどの人がスマホを使用するようになり、折りたたみ式の従来の携帯電話(以下、ガラケー)を使用している人に出会うことは稀になったといえるだろう。そんな中、折りたたみ式のスマホが登場し話題を集めている。
折りたたみ式を採用することで、大きな画面で動画やゲームを楽しめるなど今までのスマホにはない体験を楽しめるようになった。では、なぜ画面を折りたたむことができるのだろうか。折りたたみ式の画面を実現するために必要不可欠な有機ELについて注目してみよう。
そもそも近年のスマホの画面は「液晶」と「有機EL」のどちらかが採用されている。2つの画面の大きな違いは、発光の仕組み。液晶はバックライトを用いて、その光を遮る場所によって映像や画像を表示している。一方で有機ELは電圧をかけることで発光する性質のある「有機EL素子」を用いた映像を表示する仕組みだ。
折りたたみ式のスマホで採用されているのは有機ELの画面である。バックライトが必要なため厚みが出る液晶に対して、素子自体が発光する有機ELは薄い構成で設計可能であることが理由だ。折りたたみ式スマホの画面は、有機ELに髪の毛1本よりも薄い折り曲げ可能なガラスを用いて作られている。
有機ELは液晶と比べて「消費電力が少ない」「色彩表現が豊か」「応答速度が速い」「軽くて薄い」というメリットがある一方で、「輝度が劣るので日差しの強い場所では見えにくい」「画面の焼き付きに注意が必要」というデメリットがある。ただ後者は技術革新によって、今後の改善が期待されている。
実際に有機ELのスマホユーザーからは「有機ELに変更したら画質が良くなって、ゲームをしていても動きがいいから最高」「人物と背景がしっかり分かれて見えるので、アクションシーンがみやすい」といったメリットを享受している声が見られた一方で、「高輝度でつけっぱなしにしていたら焼き付きを起こしてしまった」など、有機ELのデメリットに触れてしまった声もあがっていた。
有機ELの技術開発によって実現した折りたたみ式スマホ。コンパクトサイズで持ち歩けるのに大画面も楽しめることから、さらに人気が集まることが予想されている。技術の進歩によってさまざまな形状のスマホが登場する時代、今後も最新のスマホから目が離せない。