東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)への出馬を表明している立憲民主党の蓮舫参院議員が8日、東京・神宮外苑を視察し、再開発計画の見直しを「公約にしたい」と語った。
神宮外苑の再開発に対して事業見直しを訴える日本イコモス国内委員会理事・石川幹子氏の説明を受けた蓮舫氏は「相当な広さの中に点在している木々、森、それが全部高層ビルに、商業ビルに変わるというのは『本当に都民の理解が得られているのかなぁ』と率直なところ思いました」と疑問を投げかけた。
イコモスは再開発の中止を求める警告の文書を都や事業者などに送っている。蓮舫氏は「いったん立ち止まるべきだと思います」と明言。「当然(都知事選の)争点です。当たり前だと思います」と言葉に力を込めた。
老朽化が指摘されている神宮球場や秩父宮ラグビー場については「耐震基準も含めて移す、ということ自体は理解できる」とした上で「だけどそれをなぜ高層ビルにしなければならないのか」と疑問符を付けた。小池百合子都知事が元環境大臣であったことも指摘し「CO2を吸収する森を切って、CO2を排出する高層ビルを建てるということが、環境にとってどれだけ負荷がかかるかなぁというのは、きょう、直感しています。この点はぜひ、わたしは選挙の公約にしたいと思いました」と語った。
神宮外苑の再開発は三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事が行う。明治神宮の「内苑の緑を守ること」が目的の1つとされている。明治神宮周辺の内苑の維持管理費の多くはスポーツ施設(神宮球場、秩父宮ラグビー場など)がある外苑の収益でまかなわれており、その収益を安定的に維持するために建て替えを含む再開発を行うことになったという。神宮球場はホテルを併設した施設となり、現在の伊藤忠本社ビルの場所に高層ビル、スタジアム通り側にも高層ビルが建つ計画となっている。再開発費用をまかなうためにも高層化が必要だったとされている。
外苑の象徴ともいえる4列のイチョウ並木は保全することを明示しているが、石川氏は新しい神宮球場が日光を遮り、杭が地下水を遮る形になるなどの懸念を示している。計画では3メートル以上の樹木は再開発後に94本増えることになっている。ただ、3メートル以下の樹木については3028本が伐採対象(このうち約9割は本数がカウントできない群生低木のため、面積から推計した数値)としている。