猛暑で帽子の中がサウナ状態に!通学帽子内の温度上昇を4度抑える新商品、担当者に聞く 黄色帽は危険?

北村 泰介 北村 泰介
帽子内部の温度上昇を4度抑えるという「遮熱通学帽子」
帽子内部の温度上昇を4度抑えるという「遮熱通学帽子」

 地球温暖化に伴い、猛暑日(最高気温35℃以上)の日数が年々増加している。今夏も酷暑が懸念されるが、小中学生の熱中症対策として「帽子内の温度上昇を4度抑える」という通学用帽子が開発された。販売元である学校用水着大手「フットマーク」(本社・東京)の開発担当者に話を聞いた。

 気象庁のデータによると、東京都での昨年の猛暑日は22日間。30年前頃は概ね1桁の日数だったという。同社の担当者は「熱中症の恐れから水泳授業や屋外での授業が中止になったり、冷房設備のない学校では対応に苦慮したりと授業にも影響を及ぼしています。小中学生は多くが徒歩で通学し、所要時間も長い場合は30 分から1 時間のお子様もいます。昨年夏には下校中の女子中学生が熱中症で亡くなるという痛ましい事故もありました」と開発の背景を説明した。

 同社が小中学生の子どもがいる30-40代の親202人を対象に、今年4月に実施した調査によると、「夏場、熱い中での通学に不安を感じたことがある」という問いに67・3%が「はい」と回答。また、実際に「通学中に熱中症、体調不良になったことがある」という子どもが37・6%と、3分の1以上いることが分かった。この結果を受け、通学帽子に熱中症対策の工夫を施した「遮熱通学帽子」(税込3850円)を5月23日から発売している。

 帽子の前後にある換気孔が風を通すことで、帽子内の温度を快適な状態に維持。一般的な黄色い通学帽子と遮熱通学帽子(白1色)の帽子内温湿度を比較したところ、最大4度の温度上昇を抑え、湿度についても低い結果が出たという。担当者は「前後の換気孔によって空気が抜ける換気性能の良さ、二重構造による汗などの蒸れを抑える透湿性、太陽光の反射率が高い白を採用したことによる効果」を挙げた。

 同社の開発担当者は、よろず~ニュースの取材に対し、「通学帽子を手掛けたのは今回が初めてです。それまでは体操帽子や園児用の帽子を販売していました。中でも熱中症対策を目的とした『遮熱体操帽子』は年々支持が高まっている商品で、この体操帽子があったことでヒントになった部分はあります。2020年から開発が始まった通学帽子は運動用とは条件が異なるため、ゼロから作りました」と起点を振り返った。

 担当者は「猛暑日が増え、登下校している子どもたちが汗だくになっている姿を見て、大人たちは日傘や大きなツバの帽子を被り熱中症対策をしているのに、子どもたちは厳しい環境にさらされていると感じていました。通学時間も地域により様々で、中には1時間かけて登校している子どももいます。開発に当たっては熱中症対策や衣服環境学の研究でご活躍されている横浜国立大学の薩本弥生教授に協力をお願いし、理論に基づいた設計の構築や検証実験を何度も重ね、製品化に至りました」という。

 その一方で「通学帽子は安全性や他校との識別のため導入されている学校が多いのが現状。遠くからでも目立つよう黄色が採用されたり、近隣の学校と識別するため学校ごとに色を変えて使われています」とも指摘した。

 熱中症対策で夏場は帽子着用が必須となるが、酷暑で帽子の中は〝サウナ状態〟になる。少しでも、この〝蒸し蒸し状態〟を緩和するための取り組みが同社に限らず、進められている。黄色など色付きの通学帽子は長年定着してきたが、地球温暖化と共に見直されるアイテムの一つになるかもしれない。

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