社民党の福島瑞穂党首(68)が8日、国会内での定例会見で、日本維新の会が示した公職選挙法の改正案について「維新が今言っていることについては反対。現行法でどこまでできるか、社民党としても大急ぎで検討したい」と述べた。
維新の音喜多駿政調会長(40)が7日、4月衆院東京15区補選で多くの候補者が選挙妨害を受けたと主張していることを受け、同党の公職選挙法改正案を発表。選挙の自由妨害罪の具体的な行為として「著しく粗野又は乱暴な言動」および「多数の者による選挙事務所又は居宅への押し掛け」を明記。演説を妨害する行為として「聴衆が演説を聴取することを困難にする行為」と具体化した。
同補選では、立憲民主党の酒井菜摘衆院議員(37)を党として支援した福島氏は「選挙妨害は絶対に許せない行為。本当に問題」だとしながらも「現行法でどこまでできるか。今の法律で何とかできないか。選挙活動ではあるんですが、威力業務妨害罪や様々なことで解決できないかということを考えていきたい」と訴えた。
福島氏は、維新案で「聴衆が演説を聴取することを困難にする行為」を妨害行為と定めていることを問題視した。「憲法21条が保障しているやじとの関連が不明確になり、結局は表現の自由が侵害されるのではないかという懸念を持っています。選挙妨害はいけませんが、街頭で『質問があります』『これはおかしいんじゃないですか』ということはある」と強調した。
2019年の参院選で、当時の安倍晋三首相にヤジを飛ばした2人を警察が排除し、札幌地裁と高裁が違法と判断したことも引き合いに出し「演説に対して有権者がどう反応するかということがありますので、演説を聴取することを困難にする行為ということを選挙妨害として規定することは、やはり問題が起きる可能性があると今の時点では思っております。ヤジを飛ばすのも演説を聴取することを困難にする行為と言えなくないかもしれない」と主張した。
なお、札幌のヤジについての裁判は、警察官によって離れた場所に移動させられた男女2人が道に賠償を求めたもの。昨年6月の札幌高裁の判決では、女性については1審と同様に道に賠償が命じられた。一方で、男性については賠償を命じた1審判決を取り消し、訴えを退ける判決が言い渡されている。男性が他の聴衆といさかいになり、演説車両に詰め寄るなどしたため、警察官が危険と判断したことは「客観的合理性が認められる」と指摘していた。