ウナギ・サヤカ「やりたくないけれど血が騒ぎました」極限ハードコア、敗れるも恐怖心乗り越えた

山本 鋼平 山本 鋼平
試合に敗れ悔しがるウナギ・サヤカ=24年4・14センダイガールズ後楽園大会
試合に敗れ悔しがるウナギ・サヤカ=24年4・14センダイガールズ後楽園大会

 センダイガールズ(仙女)の東京・後楽園ホール大会が14日に行われ、お騒がせレスラーのウナギ・サヤカが極限のハードコアマッチに挑んだ。女子プロレス界屈指のハードコア巧者、DASH・チサコの前に19分54秒、ホルモンスプラッシュからの体固めで3カウントを許したものの、観客からは拍手で健闘をたたえられた。大きな経験を手にしたウナギが、さらなる飛躍を誓った。

 場外の机上に横たわるウナギ。観客の悲鳴の中、約2メートル上のラダーから落下するチサコに爆殺された。さらにリングに引き戻され、体に乗せられたパイプイスもろとも開脚式ダイビングボディプレスを浴び、力尽きた。それでも「確かにお前は強いけど、私の心は全然折れていない。また査定してやるよ!」と強気な姿勢は崩さなかった。

 イス攻撃で先手を打ち、客席の大相撲力士を利用する頭脳戦を展開するも、場外戦で体力を消耗し、パイプイスピラミッドに被爆するなどして劣勢に。実力、経験の差は覆せなかったが、チサコからは「ウナギ・サヤカのハートはすごい。最初でもうダメージは大きかったのに、最後まで気持ちがすごかった。まだまだだけど、ハードコアの楽しさ、またやりたいとは思わせられたかな」と根性を認められた。大仁田厚との電流爆破、ゼロワンのシングル・リーグ戦「火祭り」出陣など、さまざまな挑戦を続けてきた異色キャリアに、新たな勲章が加わった。

 試合前日までは恐怖に襲われたという。「試合が組まれたら、もうやるしかないでしょう。電流爆破も最初は全然やる気がなかった。でもハードコアでチサコとやれるなら、こんなに美味しいことはない。私は傾奇者(かぶきもの)なので、やりたくないけれど血が騒ぎましたよね」。そんなウナギに渡米中の〝世界一性格の悪い男〟鈴木みのるからLINEが届いた。恐怖心が消えないことを伝えた。「最初は誰だって怖い。自転車に乗るのも、水に顔をつけるのも最初は怖かっただろ、と言われました。アイツの言葉で、やるしかないと思ったところもある。私は他のレスラーと違って、いろんな人に支えられて、助けられてここまで来た。私に『NO』という言葉はない」と覚悟が決まった。

 試合開始時は硬さが目立っていた。「ビビって遠慮をしても仕方がない。またやりたいと言わせないと意味がない」と開き直った。試合後は観客から大きな拍手を集めるほど健闘した。アジャコングら歴戦の強者に繰り出してきた、ラダーからの場外ダイブで圧殺されたことは、痛さと敗戦の悔しさとともに「プロレスラーとしては嬉しかったですね。明日死ぬんじゃないか、遺書を書こうかと思う位に怖かったけれど。ハードコアのチサコはカッコイイ」と、自信にもなった。

 今年1月7日に後楽園の自主興行で満員札止めの大成功を収めたウナギ。一人で複数試合に出場するハードスケジュールを完遂した。「電流爆破も『火祭り』も最初は無理だと思ったけれど、今はやって良かったと思う。『火祭り』を乗り越えたから大丈夫、あれもやったし、あの人とも戦ったから大丈夫という自信がありました。この先、チサコとハードコアをやったから大丈夫、と思える時が来ると思う」と前向きに受け止めた。

 ただし、負けて満足するようなウナギではない。「今、スターダムや(ロッシー)小川新団体とかありますが、話題を全部持っていかれるのは私たちで阻止しますよ。それはチサコも思いは一緒だと思う。そういう意味でも、この試合をできて良かった。まあ、次は覚えておけよって感じですね」。唐突に話題の団体に対抗心を示しながら、闘志を燃やしていた。

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