グーグルマップにも載ってない!? 元パティシエがつくる”インド仕込み”のスパイスカレー店 大阪の激戦区で奮闘

チコ山本 チコ山本
ウワサの人気カレー店が激戦区にお引っ越しオープン
ウワサの人気カレー店が激戦区にお引っ越しオープン

 大阪のカレー激戦区として知られる「谷町」に”辛くない”スパイスカレーの専門店「HOKUToo(ホクトゥ)」が新たに加わった。三重県出身の女性パティシエがスパイスにハマり、それが高じて本場インドに渡って習得したという本格派だ。空堀商店街から引っ越したというウワサを聞きつけて訪ねてみると、信じられないような”超穴場”にあった…。

グーグルマップにも出てこない!?

 初めての人は見つけられないかもしれない。4月10日にオープンしたスパイスカレーの専門店「ホクトゥ」があるのは谷町2丁目界隈。大阪メトロでいうと天満橋駅と谷町四丁目駅の間にあり、ちょっとしたカレー激戦区になっているエリアだ。

 建物は「日宝内淡路ビル」1階の一番奥。うなぎの寝床のような奥まった所にあり、まさに隠れ家的な雰囲気。危うく通り過ぎないように注意が必要だ。「グーグルマップで検索をかけても出てこない」と言われるのも、あながち大げさではない。

 「隠れ家チックなところが気に入り、ここに決めました。周りは有名なカレー屋さんが多く、食べ歩きをしている人も多いみたいなので、その中の一軒に加わえてもらえたらいいですね」

 笑顔で迎えてくれたのは店長の北東桃子さん。そうか、店名は彼女の名字からとっていたとは、これまたビックリだ。「ハイ、珍しい名字でしょ。親戚に数人いるぐらいです」

 出身は三重県熊野市。小さいころからケーキ作りが好きで、高校卒業後は神戸製菓専門学校へ。その後は神戸市内でパティシエとして経験を積んだ。なのに、そこからなんでカレーの道に進んだのか?

スパイスにハマり、本場インドへ

 「務めていたのがインド系のティールームでカレーやチャイも提供していて、そこでスパイスの豊かな香りに興味を持ったのがきっかけです。気づいたら毎日自宅でカレーを作っていて、やがて自分でカレー屋さんをやってみたいと思うようになりました」

 ならば、本場へいかなくてはと知り合いを通じてクラウドファンディングでのインド行きを模索。「24歳の元パティシエがインドでカレー修行する」というのが受け、目標額の40万円をあっさりとクリアし、2019年4月1日に人生初めての飛行機に乗り、ニューデリーに着いた。猛反対する両親を振り切っての初海外だったそうだ。

 インドでは知り合いの駐在員宅に一時ホームステイ。その後はバックパッカーとしてゴア、ムンバイなど7つの市町村を1カ月かけて巡業。その間は厨房で手伝ったり、自分が作ったカレーをふるまうなどしてスパイスの知識と腕を磨いた。

 「スパイスは辛いというイメージですが、甘いもの、しびれるものなどがあり、カレーでいろんな表現ができることをインドに行ってより深く学べました」

スタートは空堀商店街で間借り営業から

 そんな北東さんが初めて店を出したのがコロナ禍が明けた23年4月10日のこと。空堀商店街の一角を間借りして営業を始めると、またたく間に人気店となった。

 余談ながら空堀商店街は映画「プリンセス・トヨトミ」の舞台にもなったレトロ感漂う大阪の人気飲食スポット。そこで認められたということでも、その味の確かさが分かろうというものだ。

 今回、谷町エリアに引っ越して、実店舗をオープンしたのは間借りしていた場所がゲストハウスとして使用することになったため。しかし、常連客とのつながりを大切にしたいという北東さんの思いもあった。

 「1年間がむしゃらに走り続け、つらいこともありましたが、定期的に来てくださるお客さんがいて、何となくその人の生活の一部に関われたような気がしていました。そのことがほんとに楽しくて、嬉しかったんですよ。これは続けなくては、と思いました」

辛くなく、毎日でも食べたい本格スパイスカレー

 気になるカレーの特徴はひと言で言うと辛くない本格スパイスカレー。添加物に頼らず調味料もスパイスで作っていおり、辛くないからボクのような初心者やお子さまでも大丈夫。昔懐かしのカレーにインド仕込みのスパイスを効かせているので食べやすい。

 「ご家族での来店も多いですし、毎日でも食べたくなるカレーを目指しています。スパイスカレーの入り口としてはちょうどいいかもしれませんね」

 メニューは日替わりを含めて4種類。実際にマトンカレーとチキンカレーの2種盛りをいただいたが、ほど良くスパイスが効いて一気に完食してしまった。じんわりと汗が出るのもいい感じ。さらに、うれしいのが煮出した本格的なインド式のチャイを味わえることだ。

 また店内には国内トップクラスの茶師でありながらチャイに魅了され、会社「シャンティ」(神戸市)を立ち上げた川上直也代表がほぼ常駐。本格的に作れるチャイのティーパックを販売する一方でお茶に関するウンチクを語ってくれるのも、この店の特徴だ。

 すでに順調にスタートを切ったようで、5月からは夜営業も開始。アルバイトの募集も始めた。北東さんは「初海外も初出店も不思議と4月でした。新たな門出。しばらくはパティシエを封印してカレー1本。これからも精進し、毎日食べたくなるカレーを作り続け、このカレーでピブグルマンを取れるようにがんばりたい」と意気込んでいる。

HOKUToo(ホクトゥ)

大阪市中央区内淡路町1-3-7 日宝内淡路ビル1階、営業11:30~16:00

よろず〜の求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース