コロナ禍以降、不安の解消を占いに求める人や、逆に占う側になる人が増えているという。本職である専門家がよろず~ニュースの取材に対して、「令和の占い事情」を解説した。また、本業以外の「タロット占い師」として昨年から今年にかけてデビューした漫画家と歌手にも話を聞いた。
一般社団法人・ソーシャルコミュニケーション協会が運営する「占術事業部 Fortuna」代表の遠井香芳里氏は「鑑定士・ミケ」として2019年から活動を開始。「得意占術」はタロット、四柱推命、霊視、インド占星術。IT企業との顧問契約、大手携帯電話会社での出張鑑定、生命保険会社の人事採用補助など、企業が求める仕事も続けている。
「占術事業部」は東京と関西などを拠点とする30人近い占い師に業務委託。遠井氏は「年齢は20~60代、他の仕事と兼業の占い師もいます。弊社のホームページなどで個別に連絡を取り、オンライン占いや、対面ならカフェ、東京にある弊社事務所、参加イベントに来てもらうなど、場所は問わず、活動の場を広げています」と説明した。
占い師になるための資格は「基本的には不要」という。遠井氏は「スクールなどもありますが、習っている途中からでも占い師と名乗れますし、特にくくりはない。本業が別にある人でも変わりはない」とした上で、「占い師にはカウンセラーの要素がある」と指摘した。
では、相談内容にはどのような傾向があるのだろうか。
遠井氏は「『恋愛』が9割ですね。その中でも多いのは周りに相談できない『不倫』です。『この先、どうなりますか?』『彼の気持ちは?』『奧さんにバレてますか?』など当事者として。あるいは、自分のパートナーを心配するなど、様々なパターンがあります。不倫以外では(交際相手が)いつできるか?など。残りの1割は引っ越しの時期、金運、仕事運です」と説明した。
その上で、同氏は「大半を占める恋愛系の占いができないと、一般的には占い師として生計を立てることは厳しいと思います。姓名判断や生年月日占いとかで『こういう恋愛傾向があるから、こうなる』とデータに基づくものもあれば、タロットで相手の気持ちを読み解くこともある。恋愛系はタロットのニーズが高いと思います」と解説した。
そこで「タロット」に焦点を絞り、コロナ禍を機に占い師になった2人の表現者に聞いた。
1980年代から〝レディースコミックの女王〟として長年活躍する漫画家の森園みるく氏は今月10日、自身の作品展会場でタロット占い師デビューした。興味を持ったのは約半世紀前にさかのぼる。
「ノストラダムスの大予言などが流行ったのに乗っかり、高校生の時にタロットカードを買って、自分で占いもやっていました。悪い答に当たって怖くなったことがあり、その後、何十年もやらなかったのですが、コロナ禍になって自分の周りでタロット占い師になる人がかなり増えてきて、またやってみようかしら…と、趣味で始めました。みんな不安だったからじゃないですかね。初回の相談者は5人。60-70%はカウンセリングの要素があると私は捉えていて、相手の話を聞き、寄り添いながら、カードを見て答えるという感じです。料金は10分1000円。今後も知り合いのお店などで占いの予定が入っていまして、SNSでも告知していきます」
今年、生誕100年を迎えた越路吹雪の研究家として大手レコード会社で記念盤の企画などにも携わるシャンソン歌手のソワレは昨春、都内の店や自宅などでタロット占いを始めた。
「何か趣味を作りたいと思った時に興味があったものの一つがタロットでした。僕の身近で占い師をしている(着ぐるみでオルガンを弾き語りする女性アーティスト)『ジョン(犬)』さんから真剣に教わりました。女性客が多く、ほとんど恋愛相談ですね。僕の場合、知人が相手だと性格を知っているので、カードの読み方が素直にできないこともあるんですが、初対面の全く知らない人の方が単純に『このカードはこういう意味です』とズバズバ言えるので得意です。(核心を突かれてか)泣いちゃう人もおられました。ジョンさんには『プロとかアマとか別にして、ちゃんとお金を発生させないとカードが読めなくなる』と言われ、500円いただいてます」
最後に、本業の遠井氏に占い師としての矜恃を聞いた。
「本気で悩みを話したいのか、愚痴を聞いて欲しいのか、そこをすぐ判断できないと、その人のニーズには応えられないので、相手を見抜く力は付きました。ここをツッコんだら嫌かな…というところはジャブを入れながら見定めています。高い料金をいただいているので、中途半端に鑑定して残りはもう1回…ということはせず、多少時間は超過しても追加料金は取らずに、しっかり解決してスッキリして帰っていただきたいです」
占う側もさまざま。それぞれの思いで相談者に接している。