宝塚歌劇団員の俳優女性(当時25)が2023年9月に転落死した問題で、遺族側代理人の川人博、井上耕史両弁護士が27日、都内で会見を開き、歌劇団と親会社の阪急阪神ホールディングス(HD)、阪急電鉄との4回にわたって行われた交渉経過を公表した。
川人氏は、阪急・歌劇団側が1月24日付回答書で、劇団幹部や上級生の行為の多くがハラスメントに該当するとの見解を示したことを明らかにした。
遺族側が15件あったと訴えたパワーハラスメント(パワハラ)のうち、7件をそのまま認めたことを明らかにしたが、6件については一部否認、2件については完全に否定しているとして、合意には「相当程度の開きがある。どこまで謝罪するかが、平行線となっている」とした。
一部報道では、歌劇団側が一部の行為をパワハラと認め、阪急阪神HDの角和夫会長(74)が遺族側に謝罪する意向を示したと伝えられた。川人氏は「正確には、交渉による合意成立の場合、謝罪することを認めている」と説明した。
宙組の上級生が、ヘアアイロンで女性をやけどさせたと遺族が主張することには完全否定。阪急・歌劇団側が合意した謝罪内容を公表しないことを求めていることも挙げて「到底受け入れることはできない。パワハラ行為者の言い分を代弁する内容が多い」などと批判した。
第5回交渉は3月上旬に実施予定で「合意に向けて前進したい」と阪急・歌劇団側に合意締結を求め、角会長が直接遺族に謝罪するよう求めた。
会見では、歌劇団に所属する女性の妹の声明が読み上げられ「宝塚歌劇団は、日常的にパワハラをしている人が当たり前にいる世界です。その世界に今まで在籍してきた私から見ても、姉が受けたパワハラの内容は、そんなレベルとは比べものにならない悪質で強烈で酷い行為です」「姉の命の重さを何だと思っているのでしょうか」と訴えた。
遺族側代理人は、宝塚歌劇団の機関誌「宝塚GRAPH(グラフ)」11月号で、女性にヘアアイロンでやけどをさせたと遺族側が主張する宙組上級生が「ヘアアイロンを持っていこうかな」などと発言・寄稿したことを批判。「非常識な発言内容」として、同誌を発行した阪急電鉄の100%子会社に記事を掲載した経緯を説明し、遺族側に誠実な対応をとることを求めていくとした。