注目の関西女子アナ・カンテレ谷元星奈アナ 運命変えた学生キャスター時代、励みになった視聴者からの手紙

中江 寿 中江 寿
谷元星奈アナウンサー(撮影・飯室逸平)
谷元星奈アナウンサー(撮影・飯室逸平)

 関西の大人気番組「よ~いドン!」の3代目MCをはじめ、バラエティー、報道、情報番組と幅広く活躍している関西テレビ(カンテレ)の谷元星奈アナウンサーがこのほど、よろず~ニュースの取材に応じた。笑顔がトレードマークの彼女が、アナウンサーになったきっかけ、印象的だった出来事などを語った。

 物心ついた頃から、漠然とアナウンサーになりたいと思うようになった。家庭では常にテレビがついて、身近な存在。「ぼんやりと憧れているけど、(自分の)キャラクター的にも性格的にも人には言えない、夢みたいな感じでした」。動き出したのは高校生の時だった。愛知県出身。大学進学で地元にとどまるか、関西に行くか、関東に行くか…。両親に「アナウンサーになりたい」と初めて明かしたところ、アナウンススクールや選択肢が多い関東の大学へ行くことに決めた。

 地元の高校を卒業後、千葉大学に進学。3年生になると就職活動に向けて準備をするため、都内のアナウンススクール「テレビ朝日アスク」に通った。周囲でアナウンサーになるための情報が少なく、「東京に繰り出すか、すごく勇気がいりました。(周囲の)みんながキラキラしていて、〝アナウンサー〟って感じで、あか抜けていましたね。私は多分、ちょっと浮いていたと思います」と振り返った。

 スクールでは学生キャスターの応募資格があることも知らず、先生から「なんで応募しないの」と勧められて受けたところ選ばれ、BS朝日やAbemaTVのニュース番組で活動した。「そこで運命が変わったかもしれないですね。実際にテレビ局で働いている、社会に出られている方々と一緒にお仕事をさせていただいて、叱っていただいたこともありました」。現場でもまれた経験が、現在も大いに役立っている。

 初めての勤務となった2016年4月16日。熊本地震の2度目の大きな揺れがあった。「夜勤の日で。学生とはいえ、ずっとその情報を伝える役割だったのに、知識と経験がなかったせいで、思うように伝えられなかった。自分の中でふがいないというか、申し訳ないというのがあって」。これではアナウンサーになれるだろうか、諦めようかと考え抜いた末に「このままでは終われない」と改めて決意を固めた。

 4月で関西テレビに入社して8年目を迎える。「失敗ばかりですね」と苦笑いを浮かべながら、印象的な出来事として、2020年4月に夕方のニュース番組で担当した大阪・造幣局からの中継を挙げた。例年、桜の通り抜けで大勢の人でにぎわうが、その年はコロナ禍で戦後初めて中止となった。前年は大勢の人にもまれながらの中継だったが、その年は無人だった。

 当時は新型コロナウイルスは未知の菌。誰もが恐怖を感じ、外出自粛が呼びかけられていた。「誰にどうこれを伝えるんだろう」と葛藤もありながらの中継。「今はすごい大事な人たちのことを思って我慢の時です、みたいなことを言ったのかな。また来年、それ以降、笑ってここでお花が見られるように頑張りましょう、みたいなことを言ったんです。それで、自分も結構、感極まってしまって…」。こみ上げてくる思いを抑えきれなかった。

 社内では「よくやった」、「やりすぎじゃない」と賛否両論があったという。その中で視聴者から手紙が届いた。「〝いつも笑っている彼女が最後はちょっと目が潤んでいて、いい中継をしましたね〟とすごく優しい文章で書いてくださって」。新聞にも投稿したと書いてあり、実際に掲載されたという。「その時はやっぱり涙が出ちゃいましたね」。とにかく自信がなかった時期。「すごく頑張ろうと思いました」と大いに励みになった。

 忙しい合間を縫って、2022年には「防災士」の資格を取った。「熊本地震の時からの思いにつながっていて、ちゃんと勉強をしたかった。それにニュース番組に就かせてもらった時に、いろいろ大事なことはあると思うんですけど、防災の知識とか、何か起きたときに命を守る行動を呼びかけるのが、すごく大事だと私は思っていて」。学生キャスターとして、伝えられなかった悔しい思いはもうしたくななかった。

 今年1月1日に能登半島地震が起こった。「胸が痛むのはニュースを見ている方と一緒で。番組の中では、伝える上で以前だったら気づかなかったことが、(防災士の)勉強をしたことで、気づくようになりました。少しでもお役に立てたらと思うんですけど、机上で勉強していることと、実際に大変な思いをされる方とは違うので。難しいとは思うんですけど…」。さまざまな思いが脳裏を駆け巡っている。

 有働由美子アナウンサーが目標でもある。「ニュース番組をご自身の言葉で締められるんですけど、そういうのがグッとくるので」。自分も番組として伝えたいことを、視聴者に響く言葉で届けたいという思いがある。「自分が十分に勉強していると思っても、それが不十分だったり…。言葉は人を救うけど、それが武器になってしまう時もあるので」。言葉の大切さをかみしめながら、視聴者に情報を届けていく。

 ◆谷元星奈(たにもと・せいな)1995年11月21日生まれ、28歳。愛知県出身。千葉大学卒業後、2018年に関西テレビ入社。「よ~いドン!」(月~金曜、9・50)、「newsランナー」(木~金曜、16・45)、「LIVEコネクト!」(土曜、11・20)などに出演中。

よろず〜の求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース