Mー1新王者・令和ロマン 松井は髙比良に感謝、1000万円全額渡す‼「チャンピオンは500万以上の肩書」

山本 鋼平 山本 鋼平
第19代のMー1王者に輝いた令和ロマンの髙比良くるま(左)、松井ケムリ
第19代のMー1王者に輝いた令和ロマンの髙比良くるま(左)、松井ケムリ

 日本一の漫才師を決める「M-1グランプリ2023」決勝が24日、東京・テレビ朝日で開催され、令和ロマンが第19代王者に輝き、優勝賞金1000万円を手にした。ファーストラウンド1番手からの優勝は、第1回大会の中川家以来という快挙だった。

 最終決戦。ヤーレンズと交互に票が上がった。3対3で迎えた最後の審査員、松本人志の投票は令和ロマンだった。髙比良くるま(29)、松井ケムリ(30)は安心したような、穏やかな笑みを浮かべた。

 優勝会見。髙比良は「ほっとしました。うれしいです」と喜ぶと、松井はラジオ番組での公約通り、1000万円を髙比良に譲ることを宣言。松井は「ネタ選びも戦略も全部やってくれて、Mー1の優勝もくるまがいないとできなかった。ほんとに感謝している。チャンピオンは(賞金を折半する)500万以上の肩書になる。その代わり素晴らしい使い方をしてほしい」と断言し、相方をねぎらった。この日は競馬の有馬記念で100万円を失ったという髙比良は「体からどんどん温度が消えた。でもそのおかげで優勝できたといっても過言ではない」と言って、笑わせた。

 1番手で登場したファーストラウンドを3位で突破。さや香、ヤーレンズと争った最終決戦も1番手から登場し、ヤーレンズを振り切って栄冠を手にした。1番手からの最終決戦進出は第5回大会(2005年)の笑い飯以来、優勝は第1回大会(2001年)の中川家以来だった。M-1は7回目の挑戦で初の決勝舞台に進み、一気に偉業を成し遂げた。

 1番手が不利なのは周知の事実。髙比良は「トップバッターでは(最終決戦に)残ることはないけど、後のために勢いを付けたかった」と選択。最終決戦は小難しいネタはウケない会場の空気を読み、コント色の強いネタで勝負した。

 2020年のNHK新人お笑い大賞優勝、第44回ABCお笑いグランプリ準優勝など実力には定評があった令和ロマン。2018年結成。29歳の髙比良くるま、30歳の松井ケムリによる決勝進出者最年少で、2人とも慶応大出身(髙比良は中退)のコンビ。今夏の全国高校野球で熱狂を生んだ慶応高校の活躍からは刺激を受けていたという。

 最も感慨深かったのは、昨年の準決勝で敗退後、今年は幾度もツーマンライブでネタを磨いてきた盟友、ヤーレンズと最高峰の場で争えたこと。松井は「昨年の敗者復活戦でツーマンライブをやると決めて、決勝に2組とも行けたのはすごいこと。ライブでも最終の3組に残ろうと話していた。あれが僕たちの目指した世界です」と感無量の様子。髙比良も「昔からお世話になっているので、ヤーレンズさんがウケているときが今日一番感動しました」と、盟友ともども大団円で栄冠に輝いた。

 放送のエンディングでも意欲を口にした来年のM-1出場について、髙比良は改めて「怒られないなら出たい。(決勝は)3位。670点くらい出したいですよ」と語った。コロナ禍中は次々に同年代が芸人の道を諦めただけに、仲間たちへの思いを胸にさらなる高みを目指す。ヤーレンズへのコメントを求められると「頂きで待つ」と貫禄を漂わせつつ、充実感に満ちた表情を浮かべていた。

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