〝言葉不要の鼻歌〟ハミングは「世界の壁超える」 第一人者が解説「幸せホルモン」「コツは深呼吸」

深月 ユリア 深月 ユリア
ハミングシンガー・かくばりゆきえ
ハミングシンガー・かくばりゆきえ

 「言語を必要としない歌」である「ハミング」が言葉の壁を越えたワールドワイドな表現方法として注目されているという。その魅力はどこにあるのか。どうすれば、うまくハミングができるのか。ジャーナリストの深月ユリア氏が、10月に国際的なイベントを開催した第一人者に話を聞いた。

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 10月10日、広島県の東広島芸術文化ホールに500人余りが集い、世界33か国の人々と一斉にハミングのテーマソングを一斉に合唱するというイベント 「世界同時ハミングデー2023」 が開催された。同イベントは20年からオンラインで開催され、リアルでの開催は今回が初だが、県外からも多数の来訪者が参加し、外国人の参加者も多かったという。

 同イベントはハミングシンガー・かくばりゆきえ氏が呼び掛け、「特定の言語を必要としない歌」であるハミングを世界各地で同時に行うことで、言語や文化の壁を越えてつながろうと企画した。 10月4-10日の「国連世界宇宙週間」(宇宙への関心を高めることで宇宙空間の探査と平和利用について国際協力を促進する週間)で開催されたイベントの一貫でもある。

 では、今、なぜ「ハミング」が注目されているのか?かくばり氏にインタビューした。

 「ハミングとは、言葉がいらない鼻歌です。つまり世界で唯一『言葉の壁』を取っ払った歌です。そして、自分の内面からあふれ出る歌、元気になれる歌です」

 同氏がこのイベントを始めたのはコロナ禍の時期だったが、あっという間に各国大使館、そして国連にも注目された。世界から脚光を浴びる同氏だが、幼少期は苦労したそうだ。

 「私は発達障害(ADHD)もあって幼少期に虐(いじ)めにあっていました。いつも『私なんて』と自分の存在価値を否定していました。でも、そんな時にハミングを歌ったら、自然と元気になれたんです。その時から、いつか世界各国でハミングを一緒に歌って世界を元気にではたら、なんてボンヤリと思ってました」

 実際、ハミングはメンタルヘルスにもよいという。

 「スウェーデンのストックホルムにあるカロリンスカ研究所の研究によると、ハミングを歌うと幸せホルモンが出るそうです。また、コロナ治療に使われる一酸化窒素が通常時の15倍出て、肺機能が改善し免役力がアップするそうです。10月10日は世界精神保健同盟が定めた『世界メンタルヘルスデー』でもあるので、この日に世界でハミングを歌う、日本発の素敵な日にしたい」 

 ところで、ハミングをうまく歌うコツはあるのか?

 「深呼吸が大事です。大好きな香りを大きく吸い込むようにイメージして、鼻から息を吸って口から出すと、肺活量をあげながら豊かな歌が歌えますが、ハミングって、うまいへたは関係ないです。歌がへたであっても、ハミングって周りの人を癒す効果があるんです。例えば、小さい子どもの鼻歌って、うまくなくても楽しそうでかわいらしく癒されますよね」

 同イベントのシンボルマークはパズルのピースである。

 「 『世界に変化を望むのなら、まずあなた自身が変化しなければならない』という(インド独立の父と称された)マハトマ・ガンジーの言葉がありますが 『私なんか』でなく、『私』はパズルの大切なピース。ピースである『私』がたくさん集まれば奇跡が起きます。10日のイベントは世界がハミングによってつながったんです」
 ウクライナやパレスチナで戦争が起きている今こそ、世界が様々な壁を取っ払ってつながることに意義があるが、「ハミング」は世界平和への一つの鍵になるのか。

【かくばりゆきえのハミング動画↓】

https://youtu.be/ogb2fFBR0l8?si=y6-jgV6SyLNZC8Ft

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