近江牛を一頭買いでコストを抑えてリーズナブルに提供している焼肉チェーン「焼肉ホルモンすだく」が8月29日、滋賀県栗東市に新たに高価格帯の新店舗「焼肉すだく浮世亭」をオープンした。
注目したいのは、アルバイトの時給が2,000円(滋賀県最低時給は927円)と非常に高給なこと。果たして飲食店の高時給化はトレンドとなりうるか?
地元出身の騎手が考案したコース『特別JRA松山弘平プレミアムコース』をおいしくいただきながら、代表取締役の西野立寛さんに話を聞いた。
ーー時給2000円で採算は取れますか?
西野:高い時給で人材募集を行うと、必然的に優秀な人材を得ることができます。時給2000円で募集することで、未経験者を2〜3年かけて教育した場合と同じ水準の能力を持った人に、すぐに働いてもらうことができます。教育・採用コストをかけるよりも効率的なんです。離職率を低く抑えられることもメリットですね。
ーーそれによって、実際のスタッフの水準は上がったと感じますか?
西野:接客の質はかなり高いと自負していますよ。でも、トータルの人件費はほとんど変わらないんです。
ーー元の店舗従業員からすると、時給が2倍ですが反応はいかがですか?
西野:かえってモチベーションを高めてくれているようです。「頑張ったらあっち(2000円の方)にいけるぞ!」とポジティブに感じてくれています(笑)。
ーー飲食店の一般的な給与水準についてどう思われますか?
西野:正直言って、低いと思います。原材料費や光熱費が高騰しているので仕方のない面もあるとはいえ、工夫できるところは色々あるのではないかと思います。時給をあげて良い人材を確保することも、そのひとつですね。
ーー他になにか工夫されていることはありますか?
西野:飲食店の枠組みの外に目を向けるようにしています。飲食店はいわゆる第3次産業といわれる業種ですが、弊社は第2次産業である加工も行っています。将来的には、第1次産業の畜産にも参入したいですね。いわゆる第6次産業ですね。
第6次産業は、本来は農家や畜産業の第1次産業者が第2・第3次に手を伸ばすことを指しています。生産・加工過程で廃棄になるものを活用した商品が生まれたり、生産者が直接加工を行ったりして、新しい価値を生み出す試みです。一方で、わたしたちのような第3次産業者側からのアプローチもあってよいと思います。そうすれば調理場で廃棄しているものを畜産や加工に回したりできます。たとえば、弊社では牛脂を使ったアイスクリームの販売を既に行っています。
ーー「焼肉すだく浮世亭」に来られるお客様に向けて一言お願いします。
西野:通常の焼肉すだくとはまた違う、お祝いの日など特別な日に来ていただきたいです。また、県外や海外にどんどん広げていけたらと思います。
松山弘平:仲間の騎手たちもよく焼肉を食べています。実は昨日も札幌でレースをした後に食べました。今回のプレミアムコースは、バランスよく食べられるのでオススメですよ。
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インタビューを通じて、スタッフの時給を高く設定したのが単なる話題作りではなかったことがよくわかった。店の価値、サービスの質、従業員の待遇のすべてを高める、まさに三方良しの経営だ。
筆者も飲食店のアルバイト経験があるが、できれば西野社長のような経営者の下で働きたかったと思う。
おいしい焼肉を食べたい方はもちろん、経営のヒントを求める方も一度「焼肉すだく浮世亭」を訪れてみてはいかがだろうか。
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「焼肉すだく浮世亭」
住 所: 滋賀県栗東市辻527-1
電話番号: 070-3322-2319
営業時間: 18時~24時
定 休 日 : 不定休