「お尻」をテーマにした企画展「尻博2023」が20日、東京・神保町の文房堂ギャラリー(文房堂神田本店4階)で開幕。モデル、コスプレイヤーの美南ナミは、インスタレーションで第1回開催から4年連続4回目の参加を果たした。今回もフォトブースとして活用される。今年1月に過去の作品などを利用した撮影スタジオ「Nami Studio」を埼玉・戸田市内に設立。尻博を通して幅が広がった活動について話を聞いた。
西洋絵画のルーベンスやルノワールがモチーフに採用し、日本でも江戸時代に葛飾北斎ら有名絵師が春画で描いた「お尻」をテーマに、イラストレーター、絵画、フォトグラファー、モデル、立体造形など現代の多様な作家陣が集結した。美南の新作「サイバー尻博」は、遊び心たっぷりで色鮮やかなネオンサイン、看板が映え、ドラム缶や金網が路地裏の設定を想起させるインスタレーション。「キッチュでポップ、そしてクスッと笑ってしまうものを目指しました」と振り返った。
美南は武蔵野美大で空間演出デザインを学んだ。卒業後はアーティストのアシスタントを務めながらモデル、コスプレイヤーの活動を行ってきた。転機は2020年の第1回「尻博」だった。来場者が体験できる展示物としてフォトブースを手がけた。他のモデルたちがSNSに投稿したフォトブースでの撮影カットが話題になり、自身への注目度も上昇した。
美南は「作家としても新しい表現に挑戦できる場になった」と感謝しつつ、モデルとしても参加することから「お尻が特長のモデルと認知されるようになりました」と話した。作家としてだけでなく、被写体としてもウエストからお尻へのラインが高く評価されるようになった。
注目度が増し、尻博以外にもインスタレーションの仕事依頼を受けるようになり、憧れを持っていたスタジオ設立への機運が高まった。今年1月、埼玉県戸田市内に、事務所だった物件を自らの手で改装。新作、過去作品をモチーフに7つのフォトブースを配置する「Nami Studio」を設立した。「壁を建てるところからDIYです。リーズナブルな値段で、レイヤーさんの役に立てればうれしいと思いました。レイヤーさんの作品で、うちのスタジオで撮影された表紙のものを見かけるようになりましたね」と、うれしそうに語った。
「尻博2023」は過去最多のアーティストが参加。「尻、山脈へ」がテーマに掲げられた。初の試みとして、上野木型製作所とコラボし、男女の美尻をモデルとした等身大の〝尻像〟が製作され、来場者は触れることも可能だ。フォトブースでの撮影写真を掲出する記念スペース、モデルの撮影イベントなどの企画も満載。入場料1000円。今月30日まで開催。詳細は公式サイトまで。
美南は「今回から会場が変わり、新しい企画も増えました。たくさんの作家さんの作品を五感で楽しんでもらえたら」と呼びかけた。自身も作家、美尻が特長のモデルとして、さらなる飛躍を目指していく。