アヘ顔をテーマに、おそらく世界初であろうグループ展「AHEGAO EXHIBITION 2022」が14日、東京・秋葉原のDUB Gallery AKIHABARAで開幕した。海外3カ国を含む11人のアーティストが出品。同展を主宰したアヘ顔研究所の創設者MAYU MANSON氏は「自分が楽しい、面白い、カワイイと思うことを出せたと思います。周りの目が気になって好きなことを表現できない、そういう人たちに見てもらいたい。どんなことでも構いませんが、好きなことを表現する気持ちを後押しできればうれしい」と語った。
目の焦点が合わず、だらしない舌が特徴的なアヘ顔は、オーガズム時の表情を示し、漫画、アニメ、現在においては3次元におけるセクシーさを表す記号的で、肉感的で、性的な意味合いも持つ。MAYU氏に共鳴した米国、ブラジル、スウェーデンを含む国内外11人によるイラスト、写真、コラージュなど多種多様な作品が展示された。「私たちが提示したコンセプトに、これほど多くの作品が集まるとは思いませんでした。アヘ顔は普段の暮らしの上では見られないものですが、アートとの距離はそれほど離れていないように思い、面白さと新しさを感じました」と語った。
MAYU氏がアヘ顔に着目したのは2018年9月、英国出身のコスプレイヤー兼モデルのベル・デルフィン氏が白目で舌を出す写真をSNSに投稿しバズった。さらに現代アーティストのラッシュ・サックスが直ちに投稿を作品化。この状況に加え、「HENTAI」と認識される日本発のアヘ顔が海外で流行していることを知り、逆輸入の形で同年11月に寄り目で舌を出す自身の写真を投稿した。これが大反響を呼び、アヘ顔の魅力にとりつかれた。SNSへの投稿に並行して、19年12月に動画作品をアート展に出品。アヘ顔研究所を立ち上げ、アーティストとしての活動を開始した。「アートといっても特別何かが変わったわけではありませんでした。自分の面白い、楽しい、カワイイからできた作品が、自然な形で受け入れられたように感じます」。中学時代からネット、SNSに自撮り画像、好きなモノを投稿してきた。ネットを中心に発表するアヘ顔が、自身のアイデンティティを確立していくことに矛盾はなかったという。
なぜ自らの意思で大きく舌を出し、斜視をし、自らの顔を崩壊させるポーズを行うのか?そこには固定概念を強要する社会に対する精神的解放を強く訴えるメッセージ性が存在しているのでは。アヘ顔=AHEGAOは21世紀の精神性を象徴する一つのアイコンと言えるのではないか。
このようにアートのコンセプトを確立し、カワイイや美しいの固定観念を打破する役割もアヘ顔に見いだした。それでも「アヘ顔には強いフェチの要素があり、アートだから、とは言えないグレーな部分はあります。アヘ顔のリーダーになろう、というような考えはありません。あくまで自分の好き、面白い、カワイイと思うことを表現していきたい。そして他の人がSNSに投稿するアヘ顔をもっと見たい。アヘ顔が好きなんです」と気負いはなかった。「もともとはエロゲー、エロ漫画から始まったアヘ顔が、2018年頃から海外でセルフ写真を投稿することが増えました。昨年春からは普通の女子高生がティックトックに投稿する動画の中で一瞬だけ、変顔の一つとして舌を出す〝アヘ顔〟が増えてきました。少しづつ一般化しているように思います」と研究成果を語ったMAYU氏。〝自分の好き〟が詰まったグループ展は、日曜祝日を除き、今月29日まで開催される。