静岡県沼津にある、深海魚をテーマとした水族館である沼津港深海水族館。その水族館に隣接した沼津みなと新鮮館にある「しーらかんすCafe」で購入することができるスイーツが、SNSなどで話題となっている。
そのスイーツが「めんだこプリン」。深海に棲むタコの一種であるメンダコをモチーフにしたプリンで、ピンク色のメンダコを再現した鮮やかな色合いのプリンは静岡紅ほっぺ苺と丹那特濃牛乳を使った苺ミルクプリンとなっている。プリンの両端がプルプルと震える様子はまるでメンダコが泳いでいる時のユーモラスな動きのようで、ツイッターでもその様子を投稿した動画が多くのいいねを獲得している。
どのような経緯からこれらのメニューが生まれたのか、しーらかんすCafe代表の矢島伸浩さんに取材した。
──しーらかんすCafeは、いつ頃から営業していらっしゃいますか?
矢島:2017年の12月にイベントの屋台が初出店となります。
──シーラカンスにちなんだ個性的なメニューが多いですが、これらはいつ、どのようにして考案したのでしょうか?
矢島:2017年春前に、好きなシーラカンスをスイーツにしたら面白いと思い、自作の粘土型でパンケーキを作ろうと考案しました。
──しーらかんすCafe様がメニュー内でこだわっているポイントを教えてください。
矢島:シーラカンス型のパンケーキやもなか、そして今回のメンダコもすべてオリジナルの型を自作しているので、当店にしかないスイーツをご提供することがポイントの一つです。
おもわずクスッと笑ってしまうトッピングにしたり、ユーモラスな動きがあるものなど、商品を受け取られたお客様のテンションが思わず上がるようなメニュー作りをしています。
また、見た目だけではなく、丹那特濃乳・韮山産の紅ほっぺ苺・朝霧高原卵など、地元の厳選素材を使用し、味にもこだわっています。
──公式サイトにめんだこプリンは「型の構想から完成までに2年かかった」とありますが、具体的にどのような工程を経て完成したのでしょうか?
矢島:私自身はシーラカンス好きなのでメンダコにあまり興味がなかったのですが、妻の方がメンダコが大好きで「シーラカンスの型を作れたのだから、次はメンダコも作って欲しい」と言われていました。
妻が最初に出してきたのが自作の『めんだこプリンの歌』でした。その後、イラストでのイメージを渡され、ようやく型を作り始めるに至りました。妻からすれば、“私の説得にもっと時間を要した” そうです。
型作りの際は、妻の描いたイラストとメンダコの映像を研究。メンダコの魅力はパタパタと泳ぐヒレの動きなので、試作で何回も切れたり割れたりしながら調整を重ねて、今の動きになりました。
同時進行で、妻がプリン部分の配合などを担当しています。こちらも、型から出した際にちゃんとメンダコのポテっとした感じが出る弾力と、パタパタとヒレが動く弾力を何度も調整しました。
──めんだこプリンの型については、どのような職人さんがどうやって完成させたのでしょうか?
矢島:自作ですので、私がすべて作りました。
──型以外にも、めんだこプリンでこだわった点はありますか?
矢島:地元素材を使い、1匹飽きずに食べて頂ける様な甘さに仕上げました。また、アラモード部分ですが、海をイメージしたゼリーには、海藻のスピルリナの天然ブルーを使用しています。
メンダコプリンを1匹食べて頂いた後にアラモード部分を召し上がって頂く事になるので、フルーツやホイップ、角切りパンケーキなど飽きずに食べ進めて頂ける様に順番を考え、ラストにプリンアラモードと言えば……という象徴的なフルーツが出てきて、最後まで楽しんでいただける様にしました。
──インターネットやSNSでの反響はチェックしていらっしゃいますか?
矢島:ヒレの動きにリアクションして下さっている投稿は、「この部分に気が付いて下さってありがとうございます!」という思いで見ております。地元の方が当店の事について触れてくださっている事も、嬉しく思っています。
◇ ◇
矢島さんの話からは、メンダコとシーラカンス、そしてなによりお客さんの喜びに対するこだわりが伝わってくる。また、遠方ゆえに沼津に遊びに行けない……という人向けには「深海もなか」も用意している。
こちらはしーらかんすCafeのメニューで使っているシーラカンスもなかの中にあんこを入れて食べる商品で、「幸せを呼ぶ」という謂れもあるシーラカンスを題材にした縁起物という側面もある。
沼津から発信する静岡の新しい贈答品として使えるよう、サクサク感が特徴の新大正餅のもなか皮、香り高い富士山抹茶のあん、北海道十勝産の小豆あんといった厳選素材を使用。公式サイトのオンラインショップから注文できるので、しーらかんすCafeの味を試してみたい人にはオススメだ。
しーらかんすCafe:https://shirakansu.com/cafe