十代最後の夏休みを楽しもうとキャンプ場を訪れた4人の男女。その場所を管理する老婆から、サービスのカレーライスを振る舞われるが、そこには気味の悪い異物が混入していた。不安にかられたグループの一人がその理由をたずねようと、老婆のもとを訪れるが……。それをきっかけに、次々と凄惨な出来事が発生する、キャンプ場を舞台にしたミステリーホラー『キャンプインババア』。
殺人鬼が次々と凶行を引き起こす、ホラージャンルのひとつとして知られる“スラッシャー作品”に類する本作。登場人物が1人ずつ犠牲になっていく王道のパターンに加え、思わず目を伏せたくなるような人間の醜さなども散りばめられているところが、この作品の大きな魅力となっている。
作者は、漫画アシスタントをしながら自作も発表している漫画家のしぐさん(@agetatetonkatu1)。Twitterに発表後、下書き状態の作品でありながら、ホラーファンから注目を集め、4万回近いインプレッションを獲得した本作について、創作の背景や意図について話を聞いた。また、この記事では、この作品を全ページ掲載する。
自身の感情と作品の感情をリンクさせた作品
「まず、老婆をメインキャラクターで描こう」とインスピレーションで決めたというしぐさん。そこから、ホラー作品に転じたのは、知人の言葉がきっかけだと明かす。「この作品の前に描いた漫画を知人に見せたところ、『話はよくわかんないけど、絵が気持ち悪いからホラー漫画を描いてみたら?』とアドバイスをされました。その言葉が残っていたので、そのまま素直にジャンルをホラーに決めました」と、しぐさん。
また、舞台設定をキャンプ場に決めたのは、自身の体験を反映していると話す。「当時、世の中ではキャンプが流行っていて、読者の方にも身近に感じられる題材でいいなと思いました。それに、実際キャンプに行ってみたら落ち着きを通り越して怖かったので、その気持ちも作品に入れたくてキャンプ場を舞台に選びました」
キャンプ場を舞台にしたスラッシャー作品の要素に、登場人物の生々しい感情が絡み合うところも本作の特徴。その点については、「ネームを読んでもらった人に、『ただ戦うだけだと薄い』という感想をもらったので、これでもかってぐらい主人公に感情移入し、その時に思ったことをそのまま描いてみようと思いました。その方が感情に嘘がない気もしましたし、結果的にこれを入れることによって、より意味深になったかなと思います。ジャンルは、ぶれぶれになってしまいましたが……(笑)。なので、自分が生活していて感じた感情と、作品の中の感情がリンクしているものをかき集めて再構築しながら創作しましたね」と、創作背景について語ってもらった。
独自のホラージャンルを開拓したしぐさんは、今後どのような展望を描いているのだろうか。「ホラージャンルは、この夏に向けてもう一本描こうと思っています。あとは、都市伝説とSFはいつかやりたいなと思っています。何より、今は思いつくものを思いつくままに描いてWebで作品を発表し、読者の方が次も読みたくなるものができたら……その時に改めて自分の作家性やスタイルを考えようかなと思っています」。ホラーのみならず、新たなジャンルにも果敢に挑戦していきたいというしぐさんが、これからどういった作品を描いてくれるのか。注目していきたい。
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