“空港ファッション”。韓国のアイドルや俳優を一度でも好きになったことのある人なら、聞きなじみのあるワードだろう。彼・彼女たちが出入国時に着用している姿を撮影し、どんなブランドで、どんなトーンで、どんな組み合わせで空港に姿を現したか、現在は各メディアがYouTubeチャンネルを要しており、数時間前から空港に固定カメラを設置して生中継、その登場を待つのがお決まりとなっている。
そんな“オフ”であるはずの移動が公の場となり始めたのは、いつ頃からなのだろうか。
“空港ファッション”で記事検索をしたところ、最も古い記事として浮上したのは、2010年のものだった。人物は“ヨン様”として日本に大ブームを巻き起こしたペ・ヨンジュンである。これ以降からマスコミでも定番ワードとなり、日本にも浸透し始めた様子。またこの時期から、韓国アイドルや俳優の来日が頻繁になり、空港に姿を見せることが急激に増えたことで、言葉の定着が早まったと思われる。
2011年、韓国メディアのハンギョレが「“空港ファッション”が一つのカテゴリーになり始めた」と記事にしていたので、この記事を引用し、紹介する。
そもそもマスコミが芸能人をターゲットに空港へ足を運ぶようになったのは、あることでイシューとなった海外滞在中の有名人から直接言葉を聞きだすためで“人物≧ファッション”だったという。しかし、これを見た視聴者が「〇〇のセンスが良い or 悪い」「〇〇が持っていたアイテム(アクセサリー)が気になる」「(問われている)話題に対して、反省しているようには見えない服装」などと、徐々に彼・彼女たちが身に着けているものに着目し始める。
その後、キム・ハヌルやユン・ウネ、コン・ヒョンジュなど有名女優たちが、自ら出国時のファッションをSNSへ投稿するようになり、ファンだけでなくメディアでも“女神級の美貌”“空港ファッションの勝者”と言われ、記事として注目を集めたのだ。
こうして空港ファッションに商機があると読んだアパレルブランドが、有名アイドルや俳優に「出国時にうちのブランドを着てほしい」と売り込んだり、売り出し中のアイドルや俳優を要する芸能事務所からマスコミに「〇月〇日に出国する」と直接リリースが送られてくるという展開になったそうだ。
現に近年は、海外のファッションイベントにブランドから招待を受けたアーティストたちは、空港にもそのブランドで姿を見せることが普通のこととなっている。
もちろん私服が大半であるため、過去にイ・スンギがトーク番組で「出発前日になると、どんな服を着て空港に行けばいいか悩む」と吐露しており、SUPER JUNIORのイトゥクも「できるだけ自然な雰囲気作りに努めている」と明かしていた。
つい先ごろも、NCT DREAMがワールドツアーのために空港へ到着した際、ファンを喜ばせるために7人がお揃いの服装で登場し、話題となった。
今や空港は、レッドカーペットよりもスタイリングが難しい“ステージ”と化しているそうだ。