ノンホモ牛乳からモツァレラチーズを作ってみたら、日本の酪農業について本気で考えさせられた

野中 比喩 野中 比喩

先日、酪農家のジョンディール@金谷こと金谷雅史さん(@kanayabeats)がノンホモ牛乳を使った自家製チーズの作り方を動画でSNS上で紹介し、大きな注目を集めた。

作り方はいたってシンプルで、牛乳を加熱殺菌してお酢を入れるだけ。これなら自分にもできるかもしれないと思い、筆者もチャレンジしてみた。

レシピはノンホモ牛乳500ml、大さじ2の穀物酢、塩入り氷水、90度のお湯。

紹介しているサイトにより細部は異なるが、ざっくりした手順はノンホモ牛乳を60度まで温め、お酢を入れ混ぜる。ホエー(液体部分)とカード(チーズになる固形部分)に分離するので、カードを取り出してお湯に入れ練り、形を整えて氷水へ。あとは食べるだけ。

意外にノンホモ牛乳がなかなか見つからず通販で取り寄せることになったが、それ以外はありふれた材料で調理も簡単だ。残ったホエーもタンパク質とミネラルの塊と聞いて、翌日カレーにして食べたのだが、これも美味しかった。

ノンホモ牛乳の活用法について金谷さんに聞いてみた。

ジョンディール金谷さん(以下、金谷):ノンホモ牛乳が多く流通しないのは大きく二点の原因があります。

一つはホモジナイズ処理の未処理のための脂肪分離現象。ホモ牛乳は賞味期限内に中身が固まったりしませんが、ノンホモ牛乳は未処理のため脂肪が分離しやすく、知識の無い消費者の中には成分変化してしまっていると勘違いされる方もいます。事実はただ脂肪が分離して生クリームと低脂肪乳に分かれただけです。振れば戻りますし、そのまま飲んでも濃厚な一口目が味わえます。チーズの分離も出来、モッツアレラなども出来ます。性質上の変化を無くして均一に誰でも安心して飲めるのがホモ牛乳です。

野中比喩(以下、野中):飲み終わってすぐパック開いたら濃厚なクリームがついていて行儀悪くもスプーンで食べてみました。高級ミルククリームで最高でした!

金谷:二つ目の原因は生産性の悪さ。ノンホモ牛乳は60℃以上、30分の低温殺菌、もしくはそれに準じる75℃、15分の殺菌方法などで作られています。搾りたての生乳は本来殺菌の必要の無いものですが、消費者様の手元に届くまでに時間が掛かり細菌数などは増えます。それを防ぐために加熱によって殺菌をします。

現在、一番メジャーな牛乳の殺菌方法は130℃、2秒の高温殺菌です。2秒で殺菌が終わる高温殺菌と30分かかる低温殺菌。生産性の悪さから作りたがらないのが実情かと思います。私も1日約700Lの牛乳を出荷していますが、すべてを低温殺菌で処理しませんか?と聞かれれば二つ返事は出来ないでしょう。

ノンホモ牛乳は非常に繊細な牛乳。お手元に届くまでに消費期限と、更に流通経路まで気を使わなければなりません。その為お店で見つけることが難しく、価格も高くなるのであろうと予測します。賞味期限は短めですが酢をいれてチーズ化すれば多少日持ちします。ネットで購入、若くはお店に置いてるとこがあれば覚えておくといいですよ。なんせウマい。一番は搾りたてですけどね!(笑)。

野中:金谷さんは「#jd飯」というハッシュタグで牛乳、乳製品の消費拡大運動や食レポもされていてますね。

金谷:jd飯の経緯の根源は去年11月30日に、酪農業界の窮状をうったえるために実施したデモです。

「消費拡大お願いします」と最後に消費者の皆様へお願いをしました。これに反応してくれた人が、沢山の牛乳と乳製品を買って写真をツイートしてくれたんですね。本当に嬉しかった!

ただ、そういったのを見ながら自問自答したんです。もっと牛乳、乳製品を食べて飲んで欲しいとお願いした自分は何もしないのか?と。せめてありがとうございますの一言を言おう、それに応援していただける皆様と同じように買って食べたい。自分自身でも頑張ってるからこそ応援もいただけるはずだ、と。

そういった思いで食レポを始め、農水省が打ち出している「牛乳でスマイルプロジェクト」に協力しようと思いました。でも単に牛乳、乳製品のツイートをあげていくだけだとつまらないので、食レポの文章をなるべく長くとり、最短で私の食レポと解るようにタグを「jd飯」にしました。

野中:簡単に食事に活かせそうなレシピを教えてください。

金谷:簡単なレシピでパッと出てくるのはインスタント食品です。カップラーメンやカップスープを牛乳で作ってみたり。jd飯でも紹介してますので見てみてください。

一番おススメは蒙古タンメン中本のカップラーメン。まず普通にお湯で作って、出来たら野菜などを残して麺のみ食べ、麺をあらかたすすったら牛乳150ml程度と冷や飯を入れます。するとあら不思議、タイカレー風になります。カロリーと満腹感の持続が半端ないので運動の前には控えた方がいいでしょう。

◇◇◇

金谷さんとお話して、これからも日本製の美味しい乳製品を積極的に買っていきたいとあらためて思わされた。

酪農家 ジョンディール@金谷さん

Twitterアカウント:https://twitter.com/kanayabeats

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