合成麻薬MDMAを所持したとして麻薬特例法違反の疑いで3月に逮捕されたモデルの道端ジェシカが5日、勾留されていた警視庁原宿署から釈放された。一方、警視庁は同日、MDMAを密輸したとして麻薬取締法違反の疑いで、ジェシカの夫で米国籍の映画プロデューサー、ケネス・カオ容疑者を再逮捕した。
カオ容疑者は「間違いない」と容疑を認めているという。捜査関係者によると、2人は薬物の尿検査で陰性だった。事件は今年3月、税関職員が3月、米国から成田空港に到着したカオ容疑者宛ての荷物にMDMAを含むカプセルが隠されているのを発見。送り先の東京都港区内のホテルに荷物が届いた際に、警視庁の捜査員が室内にいた2人を麻薬特例法違反の疑いで現行犯逮捕していた。
ジェシカが釈放され、夫のカオ氏が再逮捕された流れについて、弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士がよろず~ニュースの取材に応じ、解説した。
2人の扱いに差異が生じたことに、正木弁護士は「まだ事実関係が不明確な状態ですので一般論としての推測に留まりますが」と前置きした上で「ジェシカさんの方は、取り調べで『知らない』と容疑を否認し続けており、勾留を続けるには嫌疑不十分であると判断された可能性があります」と推察した。
さらに「芸能人として顔の知られた存在ですので、逃亡のおそれもなく、証拠隠滅の可能性も低いとして、勾留の必要性が低いと判断されたと考えられます」とも説明。一方で「処分保留という状態ですから、今後は釈放されたのちも在宅での捜査が続けられることになります」とした。
カオ氏の再逮捕については「荷物の名宛人であり、本件においてはより重要な人物と考えられます。輸入(麻薬取締法64条1項)のみならず営利目的(同2項)や他の関係者の存在も想定されるとなれば、証拠を隠滅しようとする可能性も考えられます」と指摘。「捜査側が、なお身体を拘束して取り調べを続ける必要があると判断したのではないかと考えられます」と結論づけた。