前記のように、WBC出場国には順位によって異なる賞金が与えられるが、推定年俸53億円の米国・トラウト(エンゼルス)、同30億円のドミニカ共和国・ソト(パドレス)、同43億円の日本・大谷(エンゼルス)、同31億円のダルビッシュ(パドレス)のサラリーは所属球団から支払われており、WBCで獲得できる賞金とは「0」の数が大きく違う。
WBC出場に際し、各選手は万が一の故障に備えて保険に加入する。1次リーグ最終戦でドミニカ共和国を破って準々決勝進出を決めたプエルトリコの守護神で、メジャー通算205セーブのE・ディアス(メッツ)が歓喜に沸いた勝利直後のマウンドで右膝を痛め、右膝膝蓋腱全断裂で全治8カ月の重傷を負った。このように試合等のアクシデントなどでその後のシーズンに出場できないなどの支障を来した場合、当該選手に支払う年俸は保険金で充当されることになっており、金銭面で所属球団の腹が痛むことはないとされているが、優勝を狙うシーズンをにらめば大きな戦力ダウンとなるだけに、わずか1試合ではあるにせよ、故障のリスクから遠ざける意味合いもあるのかもしれない。
コロナ禍により、21年の開催予定が2年延期となって、6年ぶりに開催された今大会。日本代表にNPBを離れて久しいメジャー所属のダルビッシュ、大谷、史上最年少三冠王の村上、最速165キロ右腕の佐々木朗、2年連続投手4冠の山本ら超人気選手が名を連ねたことに加え、これまで一流選手の出場に二の足を踏んでいたMLBの各球団が大多数の選手に対して出場を許可した。米国ではMLB通算299本塁打のアレナド(カージナルス)、同315本塁打のゴールドシュミット(カージナルス)ら、ドミニカ共和国では同283本塁打のマチャド、同125本塁打のソト(パドレス)ら、ベネズエラでは同1935安打のアルテューベ(アストロズ)、21年に48本塁打を放って大谷とし烈な本塁打王争いを繰り広げたペレス(ロイヤルズ)などのメンバーが選出されたことで、これまでにない盛り上がりを見せている。