藤井竜王、大熱戦を制し史上2人目&最年少六冠達成 渡辺棋王に3勝1敗で棋王位奪取

よろず~ニュース編集部 よろず~ニュース編集部
史上最年少での六冠を達成した藤井聡太竜王(提供・日本将棋連盟)
史上最年少での六冠を達成した藤井聡太竜王(提供・日本将棋連盟)

 藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖との五冠)が渡辺明棋王(名人との二冠)に挑戦した将棋の第48期棋王戦五番勝負第4局が19日、栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」で指され、132手で藤井竜王が勝利。対戦成績を3勝1敗として棋王位を奪取し、史上2人目にして最年少での六冠を達成した。

 2連勝で奪取に王手を掛けながら、第3局では最終盤に13手詰めを見逃して逆転負けを喫した藤井竜王。今局は先手番に比べて勝率の低い後手番で、戦型は4局連続での角換わりとなった。中盤に入ると藤井竜王が徐々にペースをつかみ、優位を築き始めた。

 だが、渡辺棋王の粘り強い反撃の前に、再び互角の展開に引き戻された。しばらくは渡辺棋王の攻めを受け止める展開が続いたが、的確な受けの手を連発。優劣不明の難解な終盤戦となり、互いに死力を尽くした攻防の手が続いたが、藤井竜王が再びペースを握ると、最後まで冷静な指し回しで押し切り、快挙を成し遂げた。

 これで藤井竜王は、羽生善治九段の最年少記録「24歳2カ月」を28年ぶりに更新し、「20歳8カ月」での史上最年少六冠となった。大熱戦を制した局後は「終盤はどうなっているかわからないままやっていました。かなり非対称な将棋で、何というか、判断が難しい局面の多い一局だったかなと思います」と、さすがに疲労を隠せない様子。シリーズ全体については「(全局)角換わりの将棋で、非常に難しい将棋ばかりだったと思うので、またしっかり振り返って次に繋げていけたらと思います」と振り返った。

 初の棋王位奪取には「最後までまったく分からないまま指していったんですけど、なんとか良い結果を出すことができたのかなと」と淡々。最年少六冠にも「まだまだ実力的には足りないところが多いと思うので、立場にふさわしい将棋を指せるように、一生頑張らないといけないかなと思います」と、どこまでも謙虚だった。

 これでタイトル戦の番勝負では、初挑戦となった2020年の棋聖戦五番勝負から負けなしの13連勝。上には故・大山康晴十五世名人の19連勝、羽生九段の15連勝という記録が残るが、その更新にも期待がかかる。

 また、藤井竜王にとっては、今局が今年度最後の対局。今月8日にはA級順位戦プレーオフで広瀬章人八段に勝利して名人戦の挑戦権を獲得しており、新年度の4月からは最年少名人と最年少七冠をかけて名人戦七番勝負で渡辺名人に挑む。「名人戦をはじめ、重要な対局が続くので、その中で少しでも強くなれるように頑張りたいと思います」とキッパリ。大きな山をまた一つ乗り越え。前人未到の八冠独占ロードをさらに突き進む。

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