渋谷、軽井沢、一ノ谷、米沢…。普段、何げなく見聞きしている地名に関するツイートが「おもしろ!」「これは興味深い」「こういう気づきって素敵」と話題を呼んでいる。
地理関連の仕事をしているという地理Bの旅(@chiri_b_geo)さんが28日、ツイッターに「末尾が『谷』と『沢』の地名を地図化すると、きれいな東西差がありました」とつづり、西日本が真っ青に、東日本が真っ赤に染まった日本地図を投稿した。これは「歴史地名データ」(人間文化研究機構)のうち、旧五万分の一地形図に記載された地名から末尾が「谷」と「沢」の地名を検索し、その分布を地図化したもので、青色が「◯◯谷」、赤色が「◯◯沢」の地名を示している。
東日本と西日本の境目(フォッサマグナ)付近で色合いがくっきりと分かれており、東西差は一目瞭然。西日本は「◯◯谷」、東日本は「◯◯沢」の地名が多いという結果が見て取れる。地理Bの旅さんは「『沢』と『谷』の東西差はいくつかの地理学の書籍でも取り上げられていたので、自分でも地図化してみたいと思って作成しました」と経緯を明かし、「とても分かりやすく地域差が読み取れる地図になって驚きました」とコメントした。
また、地図をよく見てみると、関東地方は例外的に青くなっているなど、東西差に反する興味深い特徴が見られる。地理Bの旅さんによると、関東地方の『◯◯谷』は、渋谷(しぶや)、世田谷(せたがや)に代表されるように「谷」を「や」と読む場合が多いとのこと。昨年4月26日の投稿では、同じく「谷」を「や」と読む地名「谷地」「谷津」「谷戸」の分布を地図化し、「谷津」「谷戸」は関東地方に集中しているという結果を公開している。
今回のツイートには、29日時点で約4万件の「いいね」が寄せられ、「たくさんの方が関心を持ってくださりありがたいです」と感謝。以前から地名の地域差に興味があったという地理Bの旅さんは、これまでも興味深い地図を投稿している。「今回の地図に使ったデータは誰でも自由に使用できます。地理院地図(国土地理院)を使うと簡単に分布図を作成できるので、皆さんにも実際に試してみてほしいです」とし「地名など身近なものをきっかけに、地図や地理に関心を持つ人が増えたら嬉しいですね」と期待を寄せた。