東出昌大 山中での生活「人の温かさとか日常的に」 デビュー当時に比べ「雲泥の差」インタビュー【2】

中江 寿 中江 寿

 俳優・東出昌大(34)がこのほど、宮川博至監督(42)と「よろず~ニュース」のインタビューに応じた。公開中の主演映画「とべない風船」に対する思い、山中の古民家で暮らす日々の生活などについて語った。(全2回の2回目)。

 瀬戸内の島を舞台に、数年前の豪雨災害で妻子を失って以来、孤立している漁師の傷ついた心の癒やしと再生を描く物語。2018年の西日本豪雨を間近で体験した宮川博至が監督・脚本を務めている。

 主人公の島の漁師・憲二を演じた東出は約1年前から関東近郊の山中で、かまどのある古民家で自給自足のような生活を送っている。「今回の瀬戸内海の人たちの温かさとか、そういうものは日常的にありますね」。映画の中では近所の住民が心配て訪ねてきたり、農作物を自宅前に置いていく場面があるが、普段での生活でも、自分が作った梅干しや干し柿、猟で仕留めた獲物を近所に配ったり、お返しに何かをもらったりなど、地元住民との交流を深めている。

 5年前に狩猟免許を所得。以前から行っている狩猟にも、いろいろな思いが交錯している。昨年の大みそかには知人の依頼で鹿を仕留めようとしたが、とらえることはできなかった。「狩猟は命を取るということ。その時は命を取らなかったことにホッとしたんですけど、なんか悔しいんですよね。(獲物を)捕ったらうれしいですし。『狩猟は楽しいですか』と聞かれるんですけど、一言では言い表せられないですね。それに相当する言葉は莫大な文字数が必要だと思います」と胸の内を明かした。

 趣味は将棋で、時間があるときは知人と指している。現在、行われている藤井聡太五冠と羽生善治九段が対局している王将戦にも「羽生さんは勝てばタイトル100期ですよね」と気になる様子だった。

 12年の映画「桐島、部活やめるってよ」で俳優デビューから11年目。「(最初とは)雲泥の差。今は仕事をいただけたら、バッターボックスに立ったら、フルスイングでバットを触れるようになりましたね。駆け出しの頃は無我夢中でやりつつも頭でっかちで、訳が分かんないながらやっていたことが、たくさんありました。今は結構、、周りを見られるようになってきたし、役に全力を出し切れるようになってきたのが楽しいです」と成長と充実ぶりを口にした。

 「何を準備すればいいのか。お芝居は禅問答みたいなところがあって、『芝居するな』とか『芝居しろ』と同じ人から言われたりするし、その勘所は経験を重ねて勉強しないと分からないです。それが10年もたつと、『ああ、こういうことをおっしゃんてだんた』とか『今、監督はこういうことを求めてらっしゃるんだ』とか、そういうのが分かってくるようになってくるのでは」と続けた。

 「いただいた仕事を120%やって、こいつにオファーして良かったと思われるようなパフォーマンスをしたいというだけで、あとはそんなに」と今後の目標を掲げながら「『とべない風船』もやり切った感があります。見終わった後に心が軽くなる映画なので、構えずに日なたぼっこするような感じで見ていただければ」と胸を張った。

 ◆東出昌大(ひがしで・まさひろ)1988年2月1日生まれ。埼玉県出身。モデルから俳優に転身し、2012年に映画「桐島、部活やめるってよ」で俳優デビュー。第36回日本アカデミー賞新人俳優賞等受賞。主な出演映画は「寝ても覚めても」(18年)、「コンフィデンスマンJP」シリーズ(19~22年)、「スパイの妻」(20年)など。現在は関東近郊の山中で自然と暮らしている。

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