結成25周年のレイザーラモン「漫才に向き合うようになった」多様性を体現する次の目標とは

仲谷 暢之 仲谷 暢之

12月9日、レイザーラモンが大阪・堂山のクラブ「EXPLOSION」で実に3年半ぶりの単独ライブを行う。

レイザーラモンは当時、別々の大学の学生だったHGと、RGが、学生プロレスで交流したことをきっかけに1997年に結成。今年、コンビ結成25周年を迎えた二人に、これまでのこと、これからのこと、そして今回の単独ライブについて聞いた。

――25年を振り返ってみていかがですか?

HG :コンビを結成していきなり「今宮子供えびす漫才新人コンクール」で、プロレスをモチーフにしたコントで福笑い大賞を受賞しました。それが今年25年迎えて「今、僕らは漫才をやってんねんなぁ」と思うと感慨深いです。

RG:当時は漫才をやるなんて思ってもいなかったですからね。

HG:とはいえ以降は「亜流や」「キワモノや」「飛び道具や」みたいな感じでした。20代はオーディションとか落ちっぱなしで。

で、吉本新喜劇に入ることになったんですけど、これは僕らにとって大きかったですね。NSC出身ではないので基礎的なことも、笑いのセオリーってのもよくわかんないままやってきたので、ここでフリがあって、オチがあるみたいなことを新喜劇を通して身を以て知って、ネタ作りにも役に立ちました。

――そしてレイザーラモンHGというハードゲイキャラが生まれました。(※コンプライアンスの問題で現在はHGは「ホットガイ」、RGは「リアルガイ」)

HG:やり始めたのが2002年で、2005年、30歳の時にブレイクしたんです。30代前半は自分で言うのもなんですが凄かったですね。当時はまだ玉出のアパートに住んでたんですが、久しぶりに帰って届いた給料明細を見たら、給料が二桁違っていて。「あ、売れた」って思いました(笑)。

――RGさんはそのブレイクをどう見ていましたか?

RG:僕自身はどうしようって言う気持ちはあまりなくて、めちゃくちゃおこぼれに預かってたんですよ。CMにも出させてもらって100万くらいギャラあったり、テレビにも一緒にたくさん出させてもらったり。便乗してレイザーラモンRGというリアルゲイキャラも生み出したり……。調子に乗って外車買ったりしてましたもん(笑)。

HG:この鉄のメンタルが凄いですよね。でもこの強さのおかげで、2009年に僕がプロレスイベントで大ケガして長期入院した時も、腐らずにやってくれてたんでありがたかったです。

RG:正直焦ってましたが、バッファロー吾郎さん、ケンドーコバヤシさん、小籔千豊さん達の声がけでイベントやテレビに出してもらったり、徐々にあるあるネタが認められてきたりして、自分なりに相方の留守は守ってました(笑)。

HG:それで8ヶ月かかりましたけど復帰して……。

RG:そんな時に、当時のマネジャーと作家から呼び出されて「レイザーラモンさんネタやったら面白いのに、もっとちゃんと漫才をやりましょうよ」って言われました。難しいし無理やって断ったんですけど説得されて、結果、相方とも「やってみようか」と。でも、これまでサングラスで顔を隠してやってたから、お客さんが「誰?」ってネタ見るよりもザワついたまま終わるという(笑)。

でもそれを逆手にとって、HGの歴史をネタに取り入れたら「THE MANZAI」で準決勝までいけて「オオーッ」と。初めて漫才ネタでウケたなって。

HG:今まで勢いでやってきた僕らが、ちゃんと緻密にネタに向き合ったんです。僕の立ち位置がツッコミで、世間のイメージとは違うので最初はやりにくかったんですけど、無理せずに徐々にやっていたらしっくりくるようになって。

漫才にもプロレスのお約束的なものを取り入れたら、自分たちにも納得いくようなものができてきて、それが40代に入っての今です。楽しいですね。同期にNON STYLEやキングコングがいるので漫才とは違うネタでと思いやってきたんですけど、やっぱり漫才が好きやったんやなと。

――そんなお二人が劇場ではなく「EXPLOSION」でライブを行いますが、どういう内容を考えてますか?

HG:このクラブは僕のHGの原点の場所で、キャラが生まれた時からお世話になってるんです。2005年に「堂山フー!」というタイトルでライブをやらせてもらってから何回かやらせていただいてるんですが、コロナ禍で長らく閉めてはって、やっと再開されたんで、ぜひ25周年記念ライブをやらせていただきたいとお願いしました。

RG:LGBTQって言葉が定着してない時からここでやらせてもらって、リアルな多様性を自然と理解できた場所。今回もいろんな方に来ていただけたら嬉しいなぁって思いますね。ここから超いいネタを生み出して、これで「上方漫才大賞」で奨励賞を狙いたいなって本気で思ってます。

◇ ◇

“亜流”から紆余曲折を経て王道の新たなステージに突入したレイザーラモン。プロレス魂を根底にした“抜け”のエンタメを忘れない彼らを注目し続けたい。

レイザーラモン単独ライブ

「上方漫才大賞を獲りたいけど、その前に奨励賞や!」
12月9日(金)
開場 20:30 / 開演 21:00
EXPLOSION(大阪市北区堂山町8-23 サンヨー会館 B1)
https://explosion.osaka/

※詳細は会場ホームページ参照

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