弁護士バッヂをわざわざ裏返しにする理由とは…紛失防止か、自意識過剰なのか

平松 まゆき 平松 まゆき
画像はイメージです(琢也 栂/stock.adobe)
画像はイメージです(琢也 栂/stock.adobe)

 弁護士バッヂについてお話しします。以前、お昼の情報番組で弁護士バッヂに関する発言が話題になりました。水商売のお店に弁護士バッヂを付けてくる弁護士は上から目線だそう。また、あえて裏にして付けている弁護士は「なんのバッヂですか?」と聞いて欲しがっているのだそうです。

 たしかに横柄で自意識過剰な弁護士は一定数いますが(笑)、しかし私の個人的な感想は、付けっぱなしの弁護士も、裏返しにする弁護士も、「紛失防止」でやっている人が多いのではないかということです。

 というのも、弁護士バッヂを紛失すると、日本弁護士連合会に紛失したそれなりの理由を書いてバッヂの再交付申請をしなければなりません。まさか「飲み屋で酔っ払って無くしちゃった」とは書けません。さらに一種のペナルティとして官報に実名が晒されます。もちろん再発行費用も負担します(1万円程度)。

 そして再発行されたバッヂは金メッキが光り輝くピカピカの1年生仕様です。弁護士バッヂはメッキが剥がれていぶし銀のようになっている方が経験豊富なベテランであることを意味しますから、知っている人が見れば、「あ、こいつ無くしたな」ということが一目で分かります。スーツのポケットに入れたり鞄に入れたりするだけでは、どこにやったか分からなくなるので、外さない、外すとしても裏返して定位置でキープ、というわけですね。ちなみに年間平均200人以上の弁護士がバッヂを紛失するんだとか。

 司法試験に合格した直後は、しんどかった受験時代のご褒美なのだからと、「ちょっとゴミ捨てに行くだけでもバッヂは毎日つけたるで!」と息巻いていました。しかし、最近は家に忘れて出勤しまうこともあり、ほとんど意識しなくなりました。

 それでもバッヂをつけると今でも少し背筋が伸びるような気持ちがします。何事も初心を忘れてはいけません。

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