ハロウィンでざわつく渋谷から、大記録が生まれた。日本全国から同姓同名の「タナカヒロカズ」さんが一同に集まり、ギネス世界記録を目指すイベント「タナカヒロカズ運動全国大会」が29日、東京・渋谷で行われた。2005年に米国の女性実業家マーサ・スチュワートさん(81)が自身のテレビ番組に「マーサ・スチュワート」164人を集めた「同姓同名最大の集まり」のギネス記録に挑戦し、178人が集まって世界記録を達成した。
2011、17年に続く3度目の挑戦。発起人で、一般社団法人田中宏和の会の代表理事で、ほぼ幹事(全員同じ名前なのでニックネームで呼び合う)と呼ばれる会社員の田中宏和さん(53)は「ウルッと来た。大したことをしていなのに、ここにいるだけで世界一になれた。こんなバカバカしい人たちがいると、思ってくれたらうれしい」と、ギネス認定証を高々と掲げた。
13日の産経新聞に「タナカヒロカズを探しています」と新聞広告を出稿。遠方からの出席者には交通費を補助するなどとして記録を狙い、3度目の正直で成し遂げた。都内の映画館に集まり、5分間同じ場所にとどまることが記録の条件。ギネス公式記録員が集計し記録達成を宣言すると、歓声に包まれた。
1994年のプロ野球ドラフト会議で、当時の近鉄バファローズに1位で奈良・桜井商の田中宏和投手が指名され、ほぼ幹事の田中宏和さんがまるで自分が指名されたかのように気持ちが高ぶったことが「タナカヒロカズ運動」のきっかけだという。この日、近鉄投手だった田中宏和さん(46)も大阪府堺市から出席。「全員同じ名前なので不思議。頑張って来たので、感無量です」と周りを見渡した。
ギネスの規定では、漢字が違っても読みが「タナカヒロカズ」なら同姓同名として認定される。日本全国には約850人の「田中宏和」さんがいるとされ、タナカヒロカズの会のメンバーは186人を数える。日本全国およびベトナム・ハノイから、3歳~80歳のタナカヒロカズさんが大集合。都内から来た3歳の田中宏和くんの両親は「大人になった時のネタになれば」と笑った。
ほぼ幹事の田中宏和さんの調べによると、日本で一番多い名前はタナカマコト(田中実)さんだという。「タナカマコトさんやスズキイチロウさんとかが触発されて、記録を破る動きが出てきたらおもしろい。記録は破られるためにあるし、これがゴールじゃない。コロナ禍での新しい人間関係のヒントになったら」と話し、タナカヒロカズの輪をこれからも広げていく。