世界興収なんと200億円超え!インド映画の超絶娯楽大作「RRR」 ハチャメチャの興奮が世界に刺さった

伊藤 さとり 伊藤 さとり
「RRR」のワンシーン=(C)2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.
「RRR」のワンシーン=(C)2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

 いま、一本の映画が“病みつきになる”と話題を呼んでいます。

 それは日本で一大旋風を巻き起こしたインド映画『バーフバリ』のSS.ラージャマウリ監督の最新作『RRR』。本作は、製作費7,200万ドル(約97億円)というインド映画史上最高の製作費を掛けたスペクタクル映画であり、すでに全米、全英でも公開され、日本公開前には全世界で1億6000万ドル(約220億円)の興行収入を記録しているモンスター級の作品です。

 本作の舞台は、イギリス植民地時代のインド。英国総督(レイ・スティーヴンソン)に連れ去られた村の少女を救出しようと町にやってきたビーム(NTR jr.)と、それを阻止しようとする総督指揮下の警官ラーマ(ラーム・チャラン)が運命的な出会いを果たすことで巻き起こる歴史と神話と愛と友情の物語。

 それが日本公開時のタイミングでラージャマウリ監督のみならず、インドを代表するトップスター、NTR jr.とラーム・チャランの来日が実現したのも、ひとえに『バーフバリ』の日本における大ヒットから映画に魅せられたファン達が絶叫上映を開催し、監督とキャストの来日を熱望して実現させた4年前の実績のお陰でした。そして迎えた初日と翌日の公開記念舞台挨拶には、インド人ファンも多く劇場に駆け付けるというフィーバーぶり。

 私は2日目の舞台挨拶ツアーの司会を担当しましたが、俳優陣は初来日だったのでインド人学校に顔を出したり、内輪でファンと交流したりと日本を存分に満喫していると聞きました。さらにNTR jrは、舞台挨拶時に日本語で挨拶したいと長文を英語通訳の大倉美子氏に訳してもらい、裏で何度も練習を重ね、後半にはナチュラルな日本語で長い挨拶をステージ上で披露。一方のラーム・チャランは率先して日本の食べ物を口にし、私たちに話しかけるなど、終始、日本人スタッフと会話を交わしていたのでした。

 そんな彼らが得意とするダンスはもちろん見せ場の一つ。2人による息の合ったダンスシーン(ナートゥダンス)では「4キロほど痩せた」と当人は笑いながら話していましたが、このシーンはロシアに侵攻される数ヶ月前のウクライナの首都キーウ(キエフ)で撮影されたもの。主人公2人とイギリス人がダンス対決をしながら周囲の人々も巻き込んでダンスに熱狂するダイナミックで華やかな画として堪能できます。

 このように国境や言語というボーダーを超え、愛され、感動を生むのが映画の力。本作は英国でも大ヒットを記録しましたが、その理由には、作品の娯楽性と共に『マイティ・ソー』などに出演するアイルランド系の英国俳優レイ・スティーヴンソンなどを起用したり、善人のイギリス人女性も登場するなど、ラージャマウリ監督の配慮も観客は感じ取ったのかもしれません。

 ひとり対1万人の戦闘シーンや、虎との肉弾戦で2代ヒーローを讃える前代未聞のアクションエンターテインメントは、冒頭からラストまで壮大なジェットコースターを体験したような極上の興奮から再見を切望したくなる作品。まさに映画館という整った環境で心拍数が上がるサウンドと映像を全身で浴び、明日への活力を得られる娯楽映画と断言します。 

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