ソン・ジュンギが主演を務める新ドラマ、JTBC『財閥家の末息子』が、週3回の編成を決定した。
JTBC側によると、ドラマの没入度を極大化するため、金曜・土曜・日曜と週3回放送し、完成度の高い作品を披露するという。“今年最後の期待作”と呼ばれているだけに、放送局側が破格の決断を見せた。
11月18日より韓国でスタートする『財閥家の末息子』は、財閥トップであるスンヤン家のオーナーリスクを管理する秘書が、財閥家の末息子として生まれ変わり、2回目の人生を生きるファンタジードラマ。
ソン・ジュンギはユン・ヒョヌとチン・ドジュンの、1人2役を演じる。ユン・ヒョヌは、スンヤン家に忠誠を尽くしたものの、濡れ衣を着せられ捨てられるのだが、ヒョヌの記憶を持ったままスンヤン家の末息子、チン・ドジュンとして生まれ変わり、すでに知っている未来を利用して、スンヤングループを手に入れようとする。
今回の異例とも言える決断の裏には、ここ数年、ドラマの視聴率が軒並み苦戦するという苦境に陥っている背景にあるようだ。
特に、2021年下半期に放送されたJTBCドラマには、韓国を代表する大物女優、チョン・ドヨン、コ・ヒョンジョン、イ・ヨンエらが顔を揃えたものの、結果を残せていない。
チョン・ドヨン主演のドラマ『人間失格』は、視聴率1%台という屈辱を味わい、コ・ヒョンジョン主演作『あなたに似た人』も同じような視聴率で、2~4%台という数字から抜け出せないまま幕を閉じた。
加えてイ・ヨンエの主演ドラマ『調査官ク・ギョンイ』も、2%台という結果に終わっている。
JTBCドラマの歴史を振り返ると、2018年に放送された『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』(主演:ソン・イェジン、チョン・ヘイン)、『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』(主演:ヨム・ジョンア)、『ミスティ~愛の真実~』(主演:キム・ナムジュ、チ・ジニ)などをきっかけに注目を浴びるようになった。
その後、『まぶしくて -私たちの輝く時間-(2019)』(主演:ハン・ジミン、ナム・ジュヒョク、キム・ヘジャ)、『模範刑事(2020)』(主演:ソン・ヒョンジュ、チャン・スンジョ)などの話題作を量産。
そして、世界的人気を誇った『梨泰院クラス』(主演:パク・ソジュン、キム・ダミ)や、シンドロームを巻き起こした『夫婦の世界』(主演:キム・ヒエ)など、大ヒットと呼べる作品を誕生させたJTBCドラマは、韓国ドラマ界の頂点に立った。
しかしこれ以降、話題性をさらうことができず、苦戦している傾向にある。
つまり、新ドラマ『財閥家の末息子』が異例とも言える編成を組んだのは、2020年の栄光を取り戻すべく秘策に出たと推測される。これ以前、2021年に放送された『スノードロップ』も、一時期週3回の編成を組んだことがあり、同じような打開策に踏み出したものと見られる。
ソン・ジュンギは、韓国を代表するトップ俳優だ。国内外に多くのファンを持つ彼は、これまで安定した演技を披露し、数々の主演作をヒットに導いてきた。特に、前作であるtvN(Netflix)『ヴィンチェンツォ(2021)』は、第2次最盛期と言われた程、大きな人気を博している。
ブランド力もあるソン・ジュンギが主演する『財閥家の末息子』は、韓国ネットの口コミでも最も期待するドラマに挙げられており、制作側だけでなく視聴者からも多くの期待が集まっている状況だ。
しかし、視聴者からは「3日連続は、さすがに疲れるのでは?」という声も。
苦戦を強いられてきたJTBCが、2022年に見せた破格の決断。果たして、この賭けは吉と出るか、凶と出るか。
(構成:星野沙)