古書市場で人気ジワリ ジャンプ黄金期の〝短巻本〟スペース取らずSNS映えも

山本 鋼平 山本 鋼平
古書の世界は奥深い(※写真はイメージ=Satoshi/stock.adobe.com)
古書の世界は奥深い(※写真はイメージ=Satoshi/stock.adobe.com)

 古書店で高価で取引される漫画本といえば、手塚治虫、白土三平、つげ義春などの昭和レトロ本、もしくは著名作家の駆け出し時代の作品という印象があるが、最近はジャンプ黄金期の〝短巻本〟が注目を集めているという。

 大阪・松屋町で絶版漫画専門古書店「バナナクレープ」を営む小谷和豊さんは「〝短巻本〟とは私の命名で、数冊で完結した作品のことです。80年代後半から90年代のジャンプ黄金期の作品は、ヒット作でなくても意外に知名度があり、当時を懐かしむ大人から人気が出始めています。30巻を超えるような作品と違い、本棚のスペースを取らないので、電子版ではなく単行本でも持ちやすいのでしょう。ツイッターなどSNSに表紙画像を投稿して、いいねを獲得しようとする方も目立ちます」と語った。

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)の黄金期の定義は、一般的には、1994年末に発売された1995年の3・4号合併号で653万部の歴代最高部数を頂点に、1995年に「ドラゴンボール」、翌年に「SLAM DUNK」が終了し、公称発行部数が減少に転じた頃までを指すようだ。とはいえ、ある年に突然、人気が乱高下した訳ではないため、小谷さんが語る短巻本の範囲は80年代中盤から2000年代初頭までと幅がある。

 「地獄先生ぬ~べ~」(原作・真倉翔)で知られる岡野剛が、のむら剛の名義で描いた「AT Lady(オートマティック・レディ)」(全2巻)、「鬼神童子ZENKI」(原作・谷菊秀)で知られる黒岩よしひろの「不思議ハンター」(全2巻、原作・飯塚幸弘)などは典型的な例だが、ヒット作を持たない漫画家の短巻本にも一定の人気があるという。小谷さんは「著名作家のものではない短巻本では、同じ年代でも別の漫画誌の連載作品だとニーズが生まれにくい。やはり当時のジャンプは別格だと思います」と語った。単行本は1000円程度から数千円の売値がついていた。

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