LGBTの相談員が活躍する探偵社 浮気調査で女装趣味が発覚 新たな視点で離婚回避したケースも

深月 ユリア 深月 ユリア
画像はイメージです(akaricream/)
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 LGBTQ(性的マイノリティー)の存在を認識し、配慮する社会的な意識が近年高まりつつある。ジャーナリストの深月ユリア氏はLGBTQのスタッフが在籍するという探偵社の代表者を取材し、業界における一つのサンプルとして実態を聞いた。

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 コロナ禍で夫婦共にステイホームの時間が増えて、家庭でのさまざまな問題が浮き彫りになり、「コロナ離婚」も増えている。そんな時の証拠集めに活躍するのが、浮気・不倫・素行調査など、さまざまな調査をする探偵社だ。今回、LGBTの相談員が活躍しているという総合探偵グループ「チーターズ北多摩」(東京都調布市)の代表、村上裕美子氏にインタビューした。

 -LGBTの相談員はどんな方でしょうか?️

 「50代の男性ですが、(精神的な)中身も(外見上の)服装・メイクも女性で、元スナックのママさんです。女性が理解できない、男性心理も分かっていますので、調査後に相談者様のカウンセリングをすることがあります。女性同士や男性同士で話すと考え方が偏ってしまう話も、LGBTだと両方の気持ちが分かります。実際に相談して離婚を思いとどまったケースもあります」

 -具体的にはどんな案件がありますか?

 「セックスレスのご夫婦で旦那様から『嫁が浮気をしているのではないか』という調査依頼がありました。依頼人の旦那様は女装趣味がある方でした。奥様は昼は友だちとランチ、夜は飲みに行くことが多くなり、テレワーク中の『ステイホーム』期間に旦那様が怪しいと感づいたようです。奥様を尾行すると1人でラブホテルに入り、男性と2人で出てきてランチに行って別れました。しかし、男性の写真を調べたら、女性用風俗の男性でした。風俗は(探偵業界では)浮気のくくりとされないので、お伝えしたところ、『嫁の気持ちを聞いて欲しい』と。依頼人とターゲットと双方と話すケースは稀(まれ)なのですが」

 -旦那様から奥様に直接は聞きにくい部分なんでしょうね。

 「奥様と話をしたところ、『旦那を愛しているけど、女装趣味のため、男性として見られなくなった』そうです。LGBTの相談員に相談したところ、女装趣味の方には『中身は男性』『中身も女装』の方がいるようですね。それを奥様にお伝えすると『中身が女性の場合は受け入れるのに時間がかかるが、中身は男性の場合やり直したい』と。依頼した旦那様の中身は男性でした。そして、LGBTのカウンセラーと奥様とのカウンセリングの機会をつくりまして、LGBTの相談員は『旦那様は中身が男性だけど、かわいいものが好きな男性はいる。一緒にかわいいもの見に行けていいんじゃない。私は中身が女性だけどね』という話をしたところ、奥様はやり直す決意をされました。お二人は夫婦関係を修復できるよう頑張っているようです」

 -なるほど、かわいい服とか一緒に買い物できますね!女性の買い物に無関心な男性も多いから、楽しいかも。

 「新しい視点から考えると解決する問題は多々あるかと思います。困ったことがありましたら、まずはお話だけでもうかがいますので、友だち感覚でお気軽にご連絡いただけたら幸いです」

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 「チーターズ北多摩」は今年5月に起業したばかりだが、女性社長でLGBTの相談員もいるという強みあって、早くも依頼が殺到しているようだ。今回、例として挙げたケースに限らず、こうした「新しい視点」から依頼案件に取り組む業界の動きにも注目したい。

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