1985年から88年にかけて6作が製作された映画「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズにオマージュをささげた新作映画「ビーバップのおっさん」に、TBS系ドラマ「3年B組金八先生」第2シリーズ(80年10月―81年3月放送)で不良生徒・加藤優(まさる)を演じた直江喜一(59)が出演している。直江は石川県で25日に開催される同作のトークイベントに出演。会社員として赴任して〝第2の故郷〟となった現地に俳優として〝凱旋〟することを受け、よろず~ニュースに思いを語った。
直江は、半グレの若者たちに嫌がらせをされる商店街の「おにぎり店主」役。出演の経緯について「ビー・バップは金八の少し後で盛り上がった作品なので、金八のおっさんになった僕を出したいとオファーがあったのがきっかけ」という。
劇中、W主演の「ヒロシ」役の清水宏次朗(57)と「テル」役の白井光浩(54)に救いを求めるシーンで、敵役の不良たちを「腐ったみかんみたいな奴らなんですよ」と評するセリフが登場する。直江は「僕に当て書きしてくれた(笑)。おにぎり屋のオヤジという、いい役をもらってありがたいです。いじめられる役は今までなかったので演じていて面白かった」と振り返った。
元祖シリーズは見たことがないという。「映画が公開された当時は22歳。劇団『青年座』で役者修業をしながら、夜は居酒屋でアルバイトをしていて、全く見る時間がなかった。金八の加藤優とビー・バップはタイプの違う不良という感じで、なんとなく『そういうのがあるんだな』くらいで…。今回の『おっさん』しか見ていない。会社の仕事や役者として舞台に上がったり、暇がなくて、正直、今だにあのシリーズは見ておりません」と笑った。
石川県でのトークイベントは「加賀の國 いしかわ小松【秋の陣】」と題し、こまつ芸術劇場うらら(石川県小松市)で開催。直江は、白井、清水、杉浦幸(53)、岩田まあり(23)ら出演者と旭正嗣監督、元祖シリーズで「ノブオ」役として人気を博した古川勉(54)らと共に登壇する。また、主題歌などを担当した音楽ユニット「Sacra e sole(サクラ・エ・ソーレ)」も出演し、ミニライブでイベントを締めくくる。
現在も都内の建設会社で管理職の営業部長を務める直江は51歳から3年間、金沢市に単身赴任。仕事での人脈が広がるだけでなく、能登の見附島に魅せられた「見附島のえんむすびーちで!」、人生の応援歌「前だけを見て歩く男でありたい」という2曲を作詞作曲するなど、石川県への思いは強い。
直江は「この2曲は石川に行ってなければできなかった。あと、マーシャル諸島に住んでいる後輩をイメージして作った『南から』という曲と合わせた計3曲がカラオケに入っていますけど、うち2曲がこの石川産の歌。ライブでも必ず歌っています」と明かした。
さらに、赴任中に始まった金沢マラソンに第1回から2年連続で参加したことを機にマラソンに目覚め、現在もマラソンチーム「腐ったみかん's」の会長として走っている。石川県で中身の濃い3年間を過ごした日々が今の東京での生活につながっている。
「金沢の方に友だちもできて、昨年はライブもやったし、知っている店もいっぱいある。白井さんとは既に縁ができていて、清水さんとは僕が歌手としてレコードを出した時に、清水さんも歌手デビューしていてイベントでお会いしたことはあるんですよ。当時は竹宏治さん。竹の子族だったから、『金八』で共演した沖田浩之さんとの縁もあって少しだけ話したことはあるけど、今作の撮影ではゆっくり話す機会がなかったので、再会が楽しみです。ファンの方も中学時代に金八を見て、高校生の時にビー・バップがあって、両方ともはまったという人が多いんじゃないですかね。『ビーバップのおっさん』は人情ものだから、当時のファンが50代になった今見ると面白いんじゃないですか」
来年1月8日の誕生日で60歳。「定年になりますが、その後も65歳まで役職も変わらずに今の会社で働けます。ただ、それ以降の事を思うと、石川県に住んじゃおうかと思っているくらいです。ゴルフ場も安いし、向こうで宅配便のアルバイトとかしながら」。東京出身だけに、遠い地に〝故郷〟があることに憧れもあったのかもしれない。「3年B組 金八先生」の〝不良少年〟は〝還暦前のおっさん〟となり、今秋、役者として北陸にUターンする。