元女性自衛官のタレント・かざりが13日から2日間、都内で開催された世界最大の同人誌即売会「コミックマーケット100」に参加した。サークル参加した13日は2冊の新作写真集を頒布。14日は「攻殻機動隊」草薙素子のコスプレを披露した。
コロナ禍の混乱期だった2020年、自衛隊式のエクササイズを投稿したユーチューブ動画が大ヒット。特に「自衛隊体操」の紹介動画はこれまでに520万再生回数を突破。チャンネル登録者は約28万人を誇る。映画出演やダイエット本出版など、活動の幅を広げてきた。日本大学芸術学部デザイン学科を卒業後、陸上自衛隊に勤務した異色の経歴の持ち主でもある。
大学時代からコミケでコスプレ活動や自作写真集の頒布を行ってきたが、コロナ禍以降、来場者と対面する形での参加は初めて。「コロナ禍になってから、今まで私のことを、ユーチューブやツイッターなどネット上でしか見たことがないファンの方が『かざりさんってリアルで存在したんだ…!』と言ってくださったことが嬉しかったですね。中々ファンの方にはお会いできなかったので、こういった機会ができて嬉しいです。やっぱりコミケ好きだなーと!ものを作ってブースを出すのも、コスプレして色んな方と交流するのも、本当に楽しいです!」と声を弾ませた。
新作写真集は「JIRAIGIRL」(地雷女子写真集)と、「Sister's noise」(シスター写真集)の二冊。高校時代からデザインを学んできた経験を生かし「写真集の企画からグラフィックデザイン、装丁、写真のレタッチまで全て一人で行なっています。ものを作ることが大好きなので、趣味のコスプレを始めた時から写真集を自分で作ってみたい!と考えていました」というこだわりを発揮。「普段のお仕事では迷彩や制服を着ることが多いので、自分の写真集では自由にコスプレしようと思い制作しました。どちらもこだわって作ったので、ファンの方に『いいね!』と言われた時はとても嬉しかったです」と手応えを口にした。
「攻殻機動隊」草薙素子のコスプレにも、こだわりが詰まっている。「草薙素子というキャラクターは、『少佐』と呼ばれる強くてかっこいい女性です。原作の漫画も大好きで、私が自衛官になる前からずっと憧れの人物です。今回のコミケで初めてコスプレしました。彼女は全身を義体化したサイボーグなので、自分も写真に写る際に少し無機質でクールな雰囲気を出しました。モデルガンを使用して撮影したのですが、トリガーに指はかけないように注意しています」と説明した。
大学時代にアニメ「ガールズ&パンツァー」に熱狂し、自衛隊への憧れを抱いた。家族を説得して就職し、訓練など充実の日々を送っていたが、大腿骨頭の一部が壊死する難病を発症したため、志し半ば任期満了で退職。芸能活動を開始した。自衛隊への愛着は不変で、印象に残っている出来事を尋ねると「自衛隊についてSNSやユーチューブで情報発信したり、自衛隊関連のイベントにゲストとして参加し続けたところ、2020年に活動が認められ自衛隊東京地方協力本部(自衛隊のリクルート担当部署)から、感謝状を拝受したことです。お世話になった自衛隊に、何かしら恩返しできていたら良いなと思います」と答えた。
高学歴芸人が珍しくなくなったように、芸能界でも元自衛官の数は増えつつある。かざりは「元自衛官の中でも、日芸出身でクリエイターとしても活動しているのは自分くらいではないかな…と思っています。元自衛官のタレントでもあり、クリエイターでもあり、プロデューサーでもあります」と自身の特長を挙げた。その上で「自衛隊には『自己完結』(自衛隊の中で必要なことを完結させる考え)という言葉がありますが、自分にもそれは当てはまると思います。とにかく興味のあることや好きなことには一直線で、自分でなんでも創ってしまうところは、他の元自衛官と違う点かな?と感じました」と語った。
コミケの節目となる100回目のイベントで、憧れの草薙素子のコスプレを初披露し、新作写真集2冊を頒布したかざり。新たな刺激を受け「根本的に『ものをつくること』が好きで、セルフプロデュースも得意です。最近は現代アートにも興味があります。絵を描いたり彫刻をしたり…現代アーティストとしても活動できればいいなと思っています。自衛隊もデザインもコスプレもアニメもアートも大好きです。その好きなことを追い続け、『かざり』を創っていきたいです。夢は世界各地で個展をすることです!」と夢を膨らませた。