応援したい引退馬に新鮮な牧草を贈る寄付サービス「生牧草バンク」が始動し、専用サイトを今年10月にオープンする。スマートフォン向けゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」の影響で引退した競争馬へ注目が集まるなか、牧場とコネクションのないライトファンが手軽に寄付できるサービスになるという。
「生牧草バンク」は、「生牧草」を引退馬や功労馬へ届ける寄付サービス。企画した中央牧草センター増田城光さんによると、従来は引退馬の所在を知る人や関係者でないと牧場へ物資を送ることは難しかったという。「生牧草バンク」は牧場へコネクションを持つ中央牧草センターが運営するため、個人が牧場の住所を指定せずとも馬の元へプレゼントを贈ることができる。「生牧草」は農薬や化学肥料を使わず、土にこだわり栽培した国産の牧草で、これまでも引退馬の誕生日プレゼントや継続的な支援品として一部ファンから支持されていた。
制作費900万円以上をかけた一大プロジェクトに踏み切った背景には、コロナ禍や世界情勢の影響による輸入飼料の不足があった。国内で牧草を生産する中央牧草センターへ、牧場から「何でもいいから食べられるものが欲しい」などと助けを求める声もあったという。
近年は「ウマ娘」が流行し、バースデードネーションなど、引退馬への寄付活動が広く知られるようになった。増田さんは「今まで競馬界に興味がなかったライトユーザーにも興味を持っていただけるようになっている。そういう方たちにも気軽に応援できるように」とプロジェクトのねらいを語った。
サイト登録予定馬はサクセスブロッケン、アスカノロマン、オースミグラスワン、ロードバクシンなど、200頭以上(6月中旬時点)。「『この牧場だけ』『この馬だけ』ではなく、重賞を取っていない馬にもちゃんと目が届くように、みんなが応援できるものを作りたい。馬業界全体を盛り上げていきたい」(増田さん)と、重賞レース経験の有無を問わず広く協力関係を築く。
10月のサービス開始に向け、今後も登録馬数を増やす予定。また、サイト制作費に充てるためのクラウドファンディングを7月24日まで実施している。