さまざまなホラー漫画が登場する中で、これまでとは違う新たな魅力を放つ漫画が注目されている。夢や幻想を絵にしたようなアートの要素と、気持ちを不安にさせる奇妙な展開。その不気味な作風がSNSを中心に人気を集めるのが、ホラージャンルの漫画やイラストを手掛ける、沙さ綺ゆがみさん(@376Yugami376)。
一体のどのような経験を積み重ね、思考を巡らせていくと、このような作品に仕上がっていくのか。今回は、メール取材にて沙さ綺さんの創作の秘密に迫ると共に、深みにハマってしまうような漫画作品も紹介する。
ホラー漫画を描くことが、生きている実感に。
すでにプロの漫画家として書籍での作品掲載をはじめ、怖い絵の展示などの活動を行っている沙さ綺さん。こうしたホラージャンルに関心を抱くようになったのは、自身の辛い経験が大きく関係していると話す。
「私が子どもの頃、父がよく借金をしてたんで、借金取りとか怖い人が玄関に来て怒鳴ってる毎日でした。でも、そんなときルチオ・フルチの映画とかを観て、現実逃避をしてました。内臓とかゲーっと吐くシーンを見て、ホラーは何て夢があるんだろう、と」。その後、不思議なめぐり合わせによりホラー漫画家から画家となっていた、まちだ昌之と出会い、漫画を描くようになったという。
「当時、映像業界で働いていたのですが、『クリエイターなんかもうやるものか』とくすぶっていた時期に、まちださんと出会いまして。自分でもホラー漫画を描いているうちに生きているって実感が湧いてきたんです」。
沙さ綺さんが描く漫画は、現実から乖離した奇妙な絵や、前触れもなく異様な出来事が巻き起こる物語が特徴だ。こうした作風は、どのような発想から生まれているのだろうか。沙さ綺さんは言う。
「ホラー漫画を描いていますが、もしかしたらギャグ漫画なのかもしれません……。1コマ目は怖いものを描くつもりなんですが、このオチ見たことあるなと思うと、無理矢理見たことないものに変えるんです。そうすると奇怪なものができあがる。そこが読者の方に喜んでもらえるところかもしれませんね。とはいえ、本当に怖いのはもちろん現実ですし、常に不安です。だからこそファンタジーとしてのホラーを強く意識するのが大切だと思います。ひとときの悪夢を与えるのが創作としてのホラーなんだろうなと。みなさん同じ答えをなさるでしょうけど」
今後、描きたい作品についてたずねると、カルト映画界の巨匠やイタリアン・ホラーの名監督の名前を挙げ、次のように答えてくれた。「たとえが映画になりますが、アレッサンドロ・ホドロフスキーの『サンタ・サングレ』みたいな魔術的な漫画を描いてみたいです。あと、ダリオ・アルジェントの初めの頃の作品みたいなもの。怖いだけじゃなくて、たくさんのアイデアが入っている作品が好きなんです」。これからどのようなカルト的な魅力が光る作品を生み出していくのか。注目していきたい。
■■沙さ綺ゆがみさん情報
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