作者急逝から1年「ベルセルク」連載再開 結末を知る森恒二らで完結目指す

よろず~ニュース編集部 よろず~ニュース編集部
 「ベルセルク」41巻書影
 「ベルセルク」41巻書影

 漫画家・三浦建太郎氏の大人気作品「ベルセルク」の連載が「ヤングアニマル」24日発売号で再開することが7日、分かった。発行元の白泉社が発表した。三浦氏は昨年5月に急逝。生前に最終回までの構想を聞いていたという「ホーリーランド」「自殺島」で知られる漫画家・森恒二氏が監修を務め、三浦氏が設立したスタジオ我画が作画を担当する。

 原作・三浦建太郎、漫画・スタジオ我画、監修・森恒二。「ベルセルク」が新体制で歩みを再開させる。

 ヤングアニマル編集部は「三浦建太郎さんは⽣前、親友である漫画家・森恒⼆さんに、『ベルセルク』のストーリーやエピソードを話していました。また、スタジオスタッフにも担当編集にも話していました。それは⾔い残していったというわけではなく、こんなこと描いたらみんなびっくりするかな、こんなキャラクターはどうかな、この展開は⾯⽩いかな、と漫画家として当たり前の⽇常でした。その⽇常は四半世紀以上に及んでいました。⻑い時間を三浦さんと過ごした我々の頭と⼼には、三浦さんの想いが積もっています。三浦さんが描いた構想メモとキャラクターデザインも⾒つかりました。それらをファンの⽅々の誰にも伝えることなく物語を終わらせることに、強い抵抗感があります。いま我々が持ち寄ったラストエピソード・最後の⼀コマまでを読んでほしいのです」と経緯を説明。「再開にあたり我々制作陣は基本姿勢を決めました。『三浦さんがそう⾔っていた』これが、制作陣が肝に銘じたことです。ネームが残っているわけではありませんので、三浦さんが作ろうとしていた原稿を、我々が完璧に形作ることは不可能ですが、三浦さんが話していたことから決して逸脱しないように漫画を構成していきます。三浦さんとの会話や原稿制作を通して⾃分たちの中に根付いた『三浦建太郎』を真摯に紡ぎたいと考えています。この制作体制こそが三浦さんが思い描いた『ベルセルク』を、拙くても出来るだけ忠実にみなさんに伝えられる⽅法だと信じています」と決意を述べた。

 再開後は「幻造世界篇/妖精島の章」の結末まで6話分を掲載。その後は新篇に⼊る予定。41巻まで発売中の単⾏本のナンバリングは承継する。

 森恒二氏は「今から三⼗年近く前、⾃分は三浦から『ネームの相談にのってくれ』と呼び出されました。いつもの事だったので遊びついでに彼の仕事場に⾏くといつもより深刻な顔をした三浦が『蝕をやらないといけない』そう⾔ったのです。⾃分は(そりゃあ⼤事だ)と思いましたがまさか1週間も軟禁されるとは…。正にその時『ベルセルク』のストーリーは最終回までほぼ完成したのです」と三浦氏とのやり取りを回想。「恐ろしい事にそれから殆ど変更なくあの時に完成したあらすじ通りに物語は進んでいました。それから幾度も⼤きなエピソードの度に三浦と話しました。⾃分達は学⽣の頃からお互い同じように相談しながら漫画を描いてきたのです。勘の良い⽅々は予想していたと思いますが⾃分は『ベルセルク』の最終回までの物語を知っています。しかし知っているから描けると⾔うわけではありません。『ベルセルク』と⾔う偉⼤な作品は天才三浦建太郎だから描けるのです」と続けた。

 その上で森氏は「しかし⾃分には⼤きな責任が⽣じてしまいました。⽣前三浦は『最終回までのストーリーは森ちゃん以外誰にも話していない』そう⾔っていたのです。そしてそれは事実でした。あまりに重すぎる責任です。インタビューでもしてもらってファンに向けて話せばいいだろうか?それともイラストを付けた⽂章でも掲載してもらうか…。しかしそれでは三浦が⾃分に話した情景、ガッツやグリフィスの台詞は伝えきれない…。悩んでいたところに連絡が⼊りました。『絶筆した回の原稿をスタッフが最後まで描くと⾔うので⾒て欲しい』その回の後ろ数ページは完成していませんでした。キャラを⼊れてないところもある。⾃分は内⼼厳しいだろう…と思いつつ原稿を⾒ました」と、三浦氏の作画スタッフと接した際の心境を明かした。

 森氏は「必死の⼒と⾔うのは時に⼈を奇跡的に向上させます。そこには正に『ベルセルク』の完成原稿がありました。『森先⽣、⾃分達にやらせてもらえないだろうか』三浦⾃慢の弟⼦達は真っ直ぐ⾃分に伝えてくれました。三浦と⾃分の恩師である島⽥取締役も『やるなら会社は全⼒で⽀える』そう⾔ってくれました。ここで逃げれば三浦にこう⾔われるでしょう。『散々話したのにやってくれなかったのかよ!!』わかった。ちゃんとやるよ。皆さんにお断りと約束があります。なるべく詳細を思い出し物語を伝えます。そして三浦が⾃分に語ったエピソードのみやります。⾁付けはしません。はっきり覚えてないエピソードもやりません。三浦が⾃分に語った台詞、ストーリーのみやります。当然完全な形にはならないでしょう。しかし三浦が描きたかった物語をほぼ伝えられるとは思います。三浦の弟⼦達の腕は本物です!素晴らしい描き⼿です。三浦不在の『ベルセルク』に不満不服あると思いますがどうか⾒守っていただきたいと思います。よろしくお願い致します」と、連載再開への覚悟と誓いを述べた。

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