アーティストのカート・コバーンが気に入っていたエレクトリックギターが、４５５万ドル(約５．８億円)で落札された。１９９４年に２７歳の若さで自ら命を絶ったニルヴァーナのフロントマンだったカートが９１年の『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』のＭＶで演奏していた６９年製フェンダーのムスタングが２２日、ニューヨークのジュリアンズ・オークションズに出品され、前代未聞の高額を付けた。
ＮＦＬチームのインディアナ・コルツのオーナーでポップカルチャーのコレクションでも著名なジム・アーセイが落札。ジム本人はローリング・ストーン誌にこう声明を発表している。「世界を変えたアメリカ文化のさらなる一品を保存、保護することに喜びを感じています。今回の収益の一部が、我々のメンタルヘルスに関する偏見を減らす活動に充てられることは私にとって更に特別な事です」
レイク・プラシッド・ブルーのギターは、カートの生前のお気に入りで、その後家族が所持。ジムのコレクションの一部として展示されたこともあったものの、今回のオークションで、初めてジムが完全な所有権を手にする事となった。
コバーン家は同アイテムの売り上げの一部をインディアナ・コルツによるメンタルヘルスのキャンペーンに寄付する予定だ。同アイテムは３０年経った今でも素晴らしい音を奏でるそうで、ネックの状態も素晴らしく、ＣＢＳ社による仕上げも無傷、激しいライブによるダメージこそあるものの脇の大きな傷のみで、ボディーの前には小さな傷があるにとどまり、ボディ裏の塗装が多少はがれているという。ちなみにケースも多少の破れのみで良いコンディションだそうだ。
１９９１年当時カートはこう話していた。「世界のありとあらゆるギターの中で、フェンダー・ムスタングが俺のお気に入りだ。俺は２本だけ持っている」
