ゲームセンターで、オレンジ色の羽根が付いた扇風機をよく見かけるとSNS上で話題になった。「工場扇」と呼ばれるもので、数十年前から工場用の扇風機として製作されている。ゲーセンになぜ、普通の扇風機ではなく工場扇が設置されているのか。関係者に話を聞いた。
工場扇が主に設置される場所は音楽ゲーム、いわゆる〝音ゲー〟フロアだという。音ゲーでは、ナムコのゲーム「太鼓の達人」などリズムに合わせて身体を動かしてプレイする種類が多く、難易度が高いほど運動量も増加する。そんなプレイヤーが汗だくにならず、快適にプレイできるように直接風を届けている。
また、他フロアでも筐体の機械熱がこもり、フロア全体の温度が高くなってしまうという。ゲームセンター関係者は、従来の扇風機では風力が足りないとして「どうしても機械熱がかなりの温度を発してしまうので、広いフロア全体を涼しくするために大型のものを置かせていただいております」と説明した。夏場に限らず冬場でも同様で、ゲーム機が集中している場所や窓、自動ドアが近くになく空気の循環が良くないところを中心に設置しているという。
従来品よりも大きい羽根を搭載しており、性能面と耐久性に優れている。工場扇を製造・販売しているスイデンの東田和也氏は、羽根がオレンジ色の理由について安全面に配慮した結果だと説明した。
「工場って薄暗かったりするので、扇風機が見えづらくなってしまう可能性があります。誤って回転している羽に触れないように危険色であるオレンジ、目立つような色であえてつくっています」。
日本で最初に販売した同社のモデルが定着し、工場扇の羽根はオレンジ色が一般的になったという。薄暗いゲームセンターにうってつけ。今後もさまざまな場所で、オレンジ色の羽根を見かけるかもしれない。