高タンパクで、食べても太りにくい「筋肉カステラ」が、厳しい減量を求められる格闘家の間で注目を集めている。兵庫県内で展開する洋菓子店「プロップ」が今月1日から店頭販売を開始したもので、K-1ウェルター級王者の野杁正明からもラブコールを受けたという。
タンパク質が多く、低GIが特徴のスイーツ。同店の通常版カステラ1個あたりのタンパク質量が約3グラムなのに対し、生地にプロテインを混ぜた筋肉カステラは約8グラムを含む。甘味料には赤糖やてんさい糖、きび糖など6種の糖類を使用。体重を調整していても計算しやすいよう、1切れを約50グラムに設定した。
同店の渡邉勝ニ郎シェフが7〜8年前に趣味のキックボクシングを習いに行ったジムで、プロ格闘家の過酷な減量を見たことが開発のきっかけになった。当時、渡邉シェフは格闘技に詳しくなかったが、通ったジムに偶然、人気格闘家・皇治など有名選手が所属していたという。
ジムではプロが試合前の約1カ月間で8〜12キロ近く体重を落とすハードな減量を目の当たりにした。甘党も多く、それまでケーキの差し入れを喜んでいた選手も試合前はスイーツ断ち。「かわいそうだなと思った。そんな時(減量期間)でも食べられるものがあったら」と考えが浮かんだ。
2020年秋から本格的に開発をスタート。プロテインを加えると「パサパサのカチカチ」な仕上がりになりやすいといい、ケーキ屋のプライドをかけ、味や食感の理想を求めて試行錯誤した。渡邉シェフは試食を繰り返すあまり、1年半で約40キロ”増量”してしまったという。
「食べても太りにくいカステラ」の試作ができると、仕事終わりに関西のジムを回って選手へ配った。口コミが広まると、関東の有名格闘家からもSNSのダイレクトメッセージ(DM)で問い合わせを受けるようになった。「野杁正明選手が『買わせてください』とDMをくれた。『(発売前だったので)試食でもよかったら』と送って、そこからお付き合いが始まった」。
評判が広まり、渡邉シェフは試合会場で観客からも声をかけられる有名人に。多くの格闘家が筋肉カステラを食べていることに感謝し「(食べていないのは)あとは(那須川)天心と武尊くらいやな」と笑った。