ランドセルやビジネスバッグなどで知られる「土屋鞄製造所」が、「スイカ専用バッグ」や「水切り専用バッグ」など職人の〝本気の遊び心〟で作った革製品を大阪市内の梅田店で展示している(4月10日まで)。一見、奇想天外に見える鞄の細部には、老舗ブランドの技術が凝縮されているという。
展示されるのは、2020年7月からこれまでに発表された4製品。すべて職人の手作業で作られた。シリーズ第1弾の「スイカ専用バッグ」は重さ約700グラムでイタリア産牛革を使用した。昨夏に11万円で数量限定販売され、完売した人気の作品だ。
「雪だるま専用バッグ」は防水レザーと、内部には保冷素材を使用しており、溶けやすい雪だるまの持ち運びをかなえる。「ワイングラス専用バッグ」は、円形の底面と四角形の上部をねじってつなげた形をしている。梅田店の田口香織店長によると、「1枚の革で立体を作り上げるには数ミリの調整が必要」だといい、職人による手作業のワザが生かされた。
「水切り専用バッグ」は腰や肩など体に巻き付けて使うアイテムで、イタリア産のヌメ革を使用している。田口店長は「立体の造形や体へのフィット感はランドセルの製造と技術的に密接に関わっている」と解説。それぞれの作品に「(職人の)技術を詰め込んでいる」という。
「運ぶを楽しむ」シリーズは、コロナ禍で「わくわく感やときめきをお伝えしたい」と生まれた企画。新作を発表するたびに、そのユニークな形がSNS上で注目を集めていた。
梅田店では、店外から見えるショーウインドーに作品を並べている。スイカや雪だるまを入れずに展示することで、通りかかった人が足を止め使い道を想像するきっかけになっているという。