【ホラー漫画】繊細すぎる画力が恐怖を増幅させる!不思議世界の新感覚ホラー『明晰夢』

橋本 未来 橋本 未来

 心霊、ヒトコワ、実録、都市伝説など、数あるジャンルのどれにも当てはまらないホラー作品がある。作者は、漫画誌「アフタヌーン」主催の第138回四季賞夏のコンテスト佳作を皮切りに、Connected Ink 2021 KISEKI Art Projectの参加や角川コミックウォーカー「異端の祝祭」でコミカライズ連載を行うなど、第一線で活躍を続ける漫画家の文太さん(@bunta_50)。廃墟やスプラッタホラーに関心を寄せる、生粋のホラー愛好家でありながら、王道の“恐怖”ではない独特の世界観を舞台に、ちょっと不思議なホラー作品を手掛けている。そんな、ホラー作品の紹介と共に、文太さんのインタビューをお届けする。

遭遇した数ある心霊体験がホラー作品の題材に

 中学2年生の男の子が見た、目を背けたくなるような残酷な夢。そして、いつもと変わりない何の変哲もない授業風景。この2つの世界を行き来する、「もうすぐ夢から起きる、とある感覚」がキーワードとなり、世にも不思議な恐怖にさらされる『明晰夢』。

 数ある作品のなかで、特に気に入っているのがこの作品だという文太さん。「ぼくは小学生の頃から夢日記をつけていて、夢の中では到底自分の脳が作り出したとは思えない光景や発想に出会うことが度々あります。夢にまつわる不思議体験は色々ありましたが、そのなかでもダントツに奇妙で怖かったのが『明晰夢』でした」という。作品を読む度に、色々な解釈をしたくなる異色ホラーだ。

 ただ怖がらせるだけではなく、時間を掛けて読み解きたくなるような作風が特徴の文太さんの作品。創作の根底には、ご自身の心霊体験が大きく関わっていると話す。「怖い漫画は全て自分の実体験です。ただし、ぼくは唯物一元論者でして、基本的にオカルトの類は論理的な帰結として信じていません。今まで不思議なことはたくさん経験しましたが、まだ『他人と同時に同じ怪異に遭遇する』という体験が無いので、自分の脳のバグ説が有力だと思っています」。

恐怖を増幅させるデティールへの執着

 また、SNSで漫画を発表している作者のなかでも、群を抜いて画力の高さが特筆している。その魅力も相まって、文太さんならではの奇妙な世界観を構築している。この点について、文太さんはこのように話す。「絵は常に上手くなりたいと思っているんですが、世の中にはバケモノみたいな画力の人が本当に星の数ほどいるので。一目見た瞬間に『あぁ、あいつか』と思ってもらえるような絵を日々模索しています。何より、意識しているのはディティールです。単なる描き込みの密度だけではなく、人物なら表情や仕草、カメラワークといった要素に気を使って、言葉で説明せずとも来歴や背景が読み取れるような絵を描くことを心がけています」。

「ホラーというジャンルは昔から馴染みがあるのですごく向いていると感じています。まだ描いていない体験談や、いつか描いてみたい創作ホラーのアイデアもあるので、それらを何らかの形で出力できたらいいなと考えています」と話す、文太さん。次は、どのような奇妙な物語で、恐怖を感じさせてくれるのか。今後の活動にも、目が離せない!

■文太さんSNS
 
▼Twitter
https://twitter.com/bunta_50?s=20&t=008ucH9AE94sJiceKPg9YA
 
▼pixiv
https://www.pixiv.net/users/31980593/artworks

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